その後2020年には、親会社のヒリオス・アンド・マセソンが、連邦倒産法第7章に基づく破産を申請した。
2021年11月になって、スパイクスはニューヨーク市の裁判所から、ムービーパスの資産を1万4000ドルで買い戻す許可を得た。かつてのムービーパスが、元ネットフリックス幹部の主導で2700万ドルの投資を受けていたことを考えると、実にショッキングな凋落ぶりだ。
スパイクスは、新生ムービーパスのプラットフォームで、「PreShow」という機能の導入を計画した。これは、スマートフォンなどのカメラを用いたアイ・トラッキング技術を利用するもので、会員がアプリで広告を閲覧すれば、映画鑑賞に使えるクレジットを獲得できるという仕組みだ。
スパイクスは2022年2月にこの計画を発表した際に、ムービーパスのクレジットシステムの狙いは、興行がふるわない日に映画館に客が入るよう後押しすることだと語っていた。例えば、プライムタイムに上映される人気映画を観るには、たくさんのクレジットが必要だが、それほど人気のない映画の昼間の上映回は、より少ないクレジットで見られるようにする、という形だ。
レイバーデーの9月5日から、ベータユーザー向けに、アプリ経由で映画チケットの予約が可能になった。ムービーパスは、8月25日から5日間、ベータテスターになるためのウェイティング・リストをオープンしたが、同社によれば、このリストに登録した人の数は、受付開始から24時間で46万人を超えたという。
また、少し時間はかかるものの、ムービーパスの物理カードが届くまで待てば、提携する映画館で直接提示して使うことができる。さらに、「仲良しは分け合う(caring is sharing)」の精神に基づき、ベータテスターの基準を満たしたユーザーには、友人10人分のムービーパス招待枠が付与される。
(forbes.com 原文)