買収する側にとっては不可欠な情報であるチームの財務状況について、MLBがその内容を示す報告書を承認するまでには、おそらく数週間がかかる。それでも関係筋によると、すでに複数の人物が、エンゼルスの買収に関心があることを明らかにしている。
その一人とささやかれているのが、南カリフォルニアを拠点とする投資ファンド、マーチ・キャピタルの共同創業者、グレゴリー・ミルケンだ。同社は主にeスポーツやエンタープライズAIなどに投資している。また、名乗りを上げている人たちの中には、日本人もいるという。
MLBは、外国人がチームの支配権を持つことを容認している。だが、実際にそれを認めるのは、まれなことだ。1992年には任天堂USAがシアトル・マリナーズを買収することを承認したが、このときマリナーズは財政難に陥っており、地元はなんとか球団の他都市への流出を食い止めようと苦心しているところだった。
チームの潜在力は大きい?
1961年の創設以降、同じロサンゼルスを拠点とするドジャースに一貫して後れを取ってきたエンゼルスには、フィールド上でも財政の面でも、まだ発揮しきれていない大きな潜在力があると考えられる。
1958年にニューヨーク(ブルックリン)からロサンゼルスに本拠地を移したドジャースは、すぐに優勝チームとなり、ワールドシリーズでも過去7回(直近では2020年)、タイトルを獲得している。
一方、エンゼルスは創設以来ほぼずっと、さえないチームとされてきた。プレーオフに進出したのは3回(1979、1982、1986年)、ワールドシリーズを制したのは2002年の一度だけだ。
フォーブスの推計では、ドジャースのチーム価値が41億ドル(約5800億円)にのぼる一方、エンゼルスの価値は22億ドル(約3100億円)程度となっている。MLBの最も素晴らしい選手の2人、大谷翔平とマイク・トラウトを擁するにもかかわらず、TV放送されるエンゼルスの試合の視聴率は、ドジャースと比べればたかが知れたものだ。
だが、それでもエンゼルスはいくつかの点で、買い手にとっては魅力的なチームだ。まず、チームは今年、かなりの利益を上げると見込まれている。そして、負債をほとんど抱えていない。さらに、エンゼルスには数カ月前から売却が検討されているワシントン・ナショナルズとは異なり、今シーズン以降に支払い義務が残る契約負債がない。
(forbes.com 原文)