30U30

2022.09.21

人間の「オーラ」はつくれる? 音楽家とAI研究者が対談

(左から)大澤正彦、江﨑文武


大澤:僕は学校あまり好きではなくて。先生が用意した正解の通りにできる人が優秀な人、という感じがしてすごく苦手でした。

だから、「あなたはこういうところが素晴らしい、だから、あなたはこういうふうになったらいいんじゃない」と一人ひとりをプロデュースしてあげるような教育がしたいなと思っています。学生が自分なりにモノをつくったときに、どんな形であれ様々な価値軸から多面的に見て褒められるようにしたいんです。

僕のモノづくりの原体験は、幼稚園でトイレットペーパーの芯を自由にペタペタ貼り合わせて謎の物体をつくったこと。先生に「でっかいのできたね!すごい!」と言ってもらえて満足でした。



ところが、大人になってモノづくりをすると「どういう機能があるんですか」「どう役に立つんですか」という点ばかりに注目されて、つくっている人のワクワク感が十分に認められてない気がしています。そこは、音楽をつくるというところともリンクする感覚じゃないかなと思いました。

ロボットでステージ上の“存在感”はつくれるのか


——もしお二人がコラボレーションをしたら、どのようなことができそうですか。

江崎:音楽ライブの体験が特別なのは、お客さんがステージ上にいるアーティストのオーラ的なものに引き寄せられるからだと思います。それを、テクノロジーの力で“そこに人がいる”“僕がここに座っている”というふうに、「オーラの代替」的な演出はできないのかな、と。

大澤:とある研修者が、「人は、ロボットとロボットが話をしている間を突っ切ることができるか」という実験しているのですが、2体のロボットがあるだけではその間を突っ切る人が多いけれど、ロボットとロボットが上手にコミュニケーション取っていると、その間を避けて大回りして通る人が多いそうです。

このことから、「存在感」というものは、随伴性やインタラクションの質でつくれるんじゃないかという話になっています。

江崎:すごく面白いですね。最近はVTuberなど、生身の人ではないものがライブをやってお客さまを楽しませることも増えています。そこにどうしたら人間らしさや“アーティストがいる感じ”を出せるのかはとても気になっています。



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文=堤美佳子 撮影=You Ishii

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