天の川銀河の渦巻構造が地球大陸形成の引き金になった可能性

天の川銀河のイラスト(Getty Images)


衝突が起こした溶融によって浮遊性の地殻が作られ、その結果私たちの大陸が形成された、とカークランドは語る。「地球は周期的な彗星の襲来を通じて宇宙とつながっています」

それは一部の地質学者にとって受け入れがたい概念であることは間違いないが、カークランドは一連の発見を地質学におけるパラダイムシフトになぞらえる。それは、彼が指摘するように、伝統的に地質学という学問が、地球上のプロセスは惑星の内部プロセスだけが作用したものだという視点に立っているからだ。

ジルコンがなぜ巨大衝突物のタイムカプセルなのか?


ジルコンは地質学者にとって最高のタイムキーパーだ。それはジルコン結晶に含まれるウランが崩壊して鉛になることを利用して年代を測定できるためだとカークランドはいう。ジルコンは結晶が成長する過程で他の元素も取り込むため、ジルコン結晶を成長させた液体がどこからきたもを私たちに教えてくれる。

つまり、液体(マグマ)が地球内部のマントルからきたものなのか、私たちの若き惑星の既存の地殻が再び溶けたものかを知ることができる。

マグマの「マントル」対「既存の地殻」の頻度を見ることで、太陽系が銀河の腕を通過した頻度を見ることができるとカークランドはいう。また、ジルコンに含まれる酸素同位体は、地球の既存の地殻の溶融物が浅かったことを示す。これは「トップ・ダウン」な溶融プロセスと一致する。



このデータは浅い溶融物を示唆したため、地殻の溶融が巨大衝突体の衝突を引き金に起きたものであり、地球内部のマントルに由来するマグマによるものではないことを示している。

しかし、何十億年も前に私たちの太陽系が渦巻き銀河を回っていたことをどうやって追跡できたのか?

「私たちは天の川銀河、太陽系、その他の恒星のいくつかの部分ですでにわかっている動きを、時間軸を遡って追跡しました。太陽系のこれまでの動きのモデルと私たち自身のデータを両方使いました」と、共著者で英国リンカーン大学の宇宙物理学者フィル・サットンは語る。

「私たちが暮らし、ほとんどの地球の生物が存在している大陸が、私たちの太陽系が天の川銀河を通過した時の周期的な撹乱とつながっていることが最大の驚きです」とカークランドは語った。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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