エリザベス女王の在位期間は、英国史上最長。81歳で死去した高祖母のヴィクトリア女王の在位期間63年を上回り、最高齢の君主としての記録も塗り替えた。
また、エリザベス女王の在位期間は、女性君主として世界最長であり、男性も合わせた場合では、フランスのルイ14世(72年)に次ぐ第2位の長さとなった。女王は逝去の時点で、世界最高齢かつ在位期間が最も長い君主だった。
エリザベス女王の長期に及ぶ治世は、昨年死去した夫のフィリップ殿下を英国史上最も長くその立場にあった君主の配偶者とし、長男チャールズ(新国王)を最も長く皇太子の立場にあった王族にした。
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ギネス世界記録によると、エリザベス女王が同時に15カ国の国家元首でもあったことも、その国の数で世界記録となっている。また、英国のほかカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど各国が発行する少なくとも33種類の通貨に女王の肖像画が使用されていることも、最多記録のひとつだ。
そのほかエリザベス女王は、夏季オリンピックの開会を2回以上宣言した唯一の人となっている(1976年のモントリオール大会と、2012年のロンドン大会)。ロンドンオリンピックは、俳優のダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドと女王が上空を飛ぶヘリコプターから飛び降り、会場に現れる演出でも話題になった。
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女王が所有する美術作品のコレクションも、世界最大とされている。そのうち絵画は数千点、写真は約45万点になるという。ただ、それらの大半は、その他の財産の多くと同様、実際には女王個人ではなく、英王室が所有するものだ。さらに、王室の資産は独立した機関のクラウン・エステートが管理している。
クラウン・エステートは、女王個人の資産を大幅に上回る数十億ドル相当の財産を保有している。フォーブスは2021年、女王の資産額を5億ドル(約710億円)と推定。これに含まれるのは主に、投資や所有する美術品と宝飾品、英ノーフォーク州にある邸宅サンドリンガム・ハウスやスコットランドのバルモラル城といった不動産だ。
英国は服喪期間入り
女王の死を受け、英国では新国王チャールズ3世が即位。かなり以前から準備されていた計画どおり、葬儀の準備が進められ、国民の服喪期間が発表されるなどしている。
チャールズ新国王は、王室が9日から女王の国葬の7日後まで喪に服すことを公表。亡くなる直前の6日に女王から任命されたばかりのリズ・トラス新首相は、政府は国葬の日までを服喪期間とすることを明らかにした。この期間中、国内では半旗が掲げられ、政府の業務ほか文化・スポーツ関連のイベントなども規模が縮小される。