英エリザベス女王の死から学ぶ企業の後継者育成

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英エリザベス女王の死とその息子チャールズ皇太子(現国王)の速やかな継承は企業、組織、そして企業のトップにとってリーダーシップ移行についてのタイムリーな教訓となっている。

エリザベス女王(享年96)の死は後継者計画を策定し、必要に応じてその計画が定期的に更新されていることを企業の経営者に確認するよう注意喚起するものだ。

トップ交代はそれが計画的なものであれ、予期せぬものであれ、戦略的、効果的、効率的に処理されなければどんな組織にとっても危機をもたらす可能性がある。

重大な分岐点の瞬間


米ニューヨーク・タイムズ紙は「英王室が8日に発表した英エリザベス女王の死は英国にとって比類なく、計り知れない分岐点となる瞬間」と報じている。

「ほとんどの英国人が唯一知っている尊敬すべき君主の死であり、英国の第二次世界大戦の栄光を伝える役割を果たし、ポスト植民地やポスト帝国時代への適応を適切に仕切り、欧州連合からの苦い離脱を経験した人物の死である」と同紙は解説した。

後継者育成の教訓


必然のための計画


「チャールズ皇太子は生涯をかけて王位継承の準備をしてきた。何度も計画を練り直した」と米海軍の元大佐バーバラ・ベルはいう。ベルは米バンダービルト大学でリーダーシップを教える教授で「Flight Lessons: Navigating Through Life’s Turbulence and Learning to Fly High」の著者だ。

「そこには学ぶべき点がある。後継者育成は生きた計画でなければならない。次のリーダーに引き継ぐための計画をじっくりと準備し、最新のものにしておく必要がある。そして最高経営責任者(CEO)として自らの後継者育成に進んで積極的に関わらなければならない。会社は今どの位置にあるのか、どこへ行こうとしているのか、あるいは行くべきなのかそして将来はどのようなリーダーが必要とされているのか」

「私は海軍で常にそのように行動していた。指揮官でありながら、自分の後を継ぐ次の指揮官のために率先して育成に取り組んだ」とベルは振り返った。

王政の後継者計画は「効率的に体系化され、何世紀もの歴史と伝統によって決められている」と米M&A戦略コンサルティング会社キャプストーン・ストラテジックの創業者でCEOのデービッド・ブラウンは声明で述べている。

「企業は逐一の計画を立てる必要はないが、『次の人』を用意し、続いて発表とアクションを正確に遂行することの威力を学ぶことができる。迅速に実行できる詳細な計画を立てることで、企業の印象やビジネスの進め方に大きな違いが生まれる」とブラウンはアドバイスする。
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翻訳=溝口慈子

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