そのピザの祭典「Top 50 Pizza」が9月7日、ピザの本場、ナポリの歴史的建造物、パラッツォ・レアーレで行われた。
世界一に輝いたのは、ナポリから30キロほど北に離れたカゼルタの「I MasanielliーFrancesco Martucci」。同率一位で、アメリカ・ニューヨークの「Una Pizza Napoletana」が選ばれた。
日本からトップ50に入ったのは、16位のザ・ピッツァ・バー on 38th(Best Customer Welcomeも同時受賞)と、23位のナポリタスカ。いずれも東京の店だった。
このユニークなランキングを考えたのは、ナポリから南に50キロ、サレルノ出身のアルベルト・サペレさん。両親が、ピザ職人もいるイタリア料理店を営んでいたことから、子どもの頃から美味しいピザを食べて育ったそう。故郷であるカンパーニア地方の文化を発信するイベントのオーガナイザーとして活躍していた2007年、イタリアのトップシェフを集めて開催したイベントがきっかけだった。
その日、現代イタリア料理の父とも呼ばれるグアルティエーロ・マルケージや、今や世界No.1シェフとしても知られるマッシモ ・ボットゥーラなどが壇上で発表を行うなか、トップシェフに混じって発表した一人のピッツァイオーロ(ピザ職人)が会場の注目をさらった。
「これまで、ピザ職人の社会的な地位は、シェフより下に見られてきました。でも、どのトップシェフよりも、彼の発表に、皆が釘付けになったのです」とサペレさんは振り返る。
その人の名は、エンツォ・コッチャ。ピザの世界に革新を起こした人物として知られている。
「これまで、カジュアルなストリートフードとして捉えられていたピザを、良い食材を使い、レストランの料理のように解釈して提供したのがエンツォ・コッチャです。これまで誰も、そんな風にピザのことを考えたことがなかった」とサペレさん。一人のピザを愛する人間としてコッチャさんの話に感銘を受けた彼は「ピザの新しい時代がやってくる」と予感したという。