世界2番目のEVメーカー・テスラの超人気車「モデルY」の真相

テスラ Yの納車式はパーティのようだった


実際、走ってみると、また驚く。加速性は恐ろしいほど高い、というのは当たり前すぎる。でも、速い割には、ハンドリングがシャープで安定している。ステアリングは多少重いけど、路面からしっかりとフィードバックはくるし、乗り心地は少し硬めだけど、硬すぎるほどではない。ただ、リアのウィンドーが跳ね上がっているので、ルームミラーで後ろの車両を見るのは少し苦労する時もある。また、タッチスクリーンの右上に写る小さな速度計を読むのに慣れる必要がある。

また、走行中に自分の周囲で起きていることは、すべてこのタッチスクリーンに写し出される。ちょっと先に信号があること、路肩に赤いコーンが立っていること、人が道を渡ろうとしてたり、後ろから他の車が追い越そうと近づいてくること、などが、首を回さなくてもスクリーン上で見られるのが面白い。

そして、モデルYで僕が一番好きな部分はなんと言っても、衛星ラジオだ。タッチスクリーンのラジオの機能を選ぶと、地域別・国別の放送局が現れ、そのムードに合った曲選びができる。車両は常にWIFIと繋がっているので、いつでもどこでも、アメリカのクラシックロック、オーストリアの交響楽団、それともオーストラリアの名バンドAC/DCと、瞬時に選べる。この機能はテスラだけ!他の日本や欧州のどのメーカーも、こんなに素晴らしい衛星ラジオはオファーしていない。何で!?

衛星ラジオの画面
画面には各国のラジオ局が表示され選択できる。

そうだ、もうひとつあった! スクリーンのすぐ下にスマホのチャージャーが2つ並んでいること。トレイに2機並べて同時チャージできるクルマは、他のメーカーにもどこにも無い。やっぱりテスラはクルマというより、移動するマイ・スペースなんだ。

スマホを置くスペース
スマホを並べて2台置くことができる。

モデルYを購入しようと検討しているなら、テスラ独特の世界一充電の早い急速充電器「スーパーチャージャー」のインフラが気になるところだ。今現在は、日本全国に49ヶ所にあり、たとえば、東京・東雲のオートバックス店なら8機、パレスホテルやグランドハイアットホテルに2機ずつ設置されている。充電が必要な時には、タッチスクリーンで簡単にスーパーチャージャーが探せるし、しかも何機空いているかということもすぐわかる。

詳しい数字はわからないけど、話によると、半分以上の顧客は200万円安い643万円の後輪駆動車をセレクトしているようだ。4WD車は、833万円だ。EPA局によると航続距離は後輪駆動車が525km、4WD車は488kmなので、多くの人はより低価格で距離が出る仕様を選ぶようだ。モデルYが今、日本で一番人気のEVであることは当然だろう。ルックスはともかくとして、加速性、ハンドリング、抜群の機能性やテクノロジー、衛星ラジオ、そして、どのライバルよりも長い航続距離や急速充電状況を誇るモデルYに勝るものはないね。当分出ないんじゃない?

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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