世界2番目のEVメーカー・テスラの超人気車「モデルY」の真相

テスラ Yの納車式はパーティのようだった


コクピットを支配する15インチの大型タッチスクリーンで、全ての操作を行う。速度計やタコーメーターなどのゲージは全くなく、代わりに操作系のものは全てiPadサイズぐらいのタッチスクリーンに入っている。ドアミラーやステアリングホイールの調整をしたい時は、まずはタッチスクリーンの中の項目を選んで、ステアリングホイールについているボタンで簡単に調整すれば良い。

従来のクルマが精妙なスイス製のムーヴメントを持つ腕時計だとすると、モデルYはスマートウォッチだ。人間が作った形跡を感じさせず、最新のテクノロジーが人を運んでくれる。いずれはこのまま空を飛ぶように進化するのかも知れない。

運転席の写真

でも、それだけではない。NETFLIXやディズニー、またはゲームにもアクセスできるし、世界中のラジオ放送局を簡単に探せて聴くことができる。巨大なサンルーフの下に真っ白にシートが目立つ地味なキャビンは、映画「2001年宇宙の旅」の宇宙船を思い出させる。

シートの写真
テスラといえば白いシート。宇宙服のようなイメージだ。

モデルYに座って運転すると、まるで5年先の未来にタイムスリップしたかのような気分になる。今までのどのガソリン車やEV車ともデザインが異なる。よく言えば、クリーンでシンプルで機能的なiPhoneの自動車版だ。そして悲観的に言えば、ちょっと魂が足りない。

では、僕が一番気に入った3つの要素を教えよう。1つは、必要以上に速すぎる加速性。前のクルマを追い越しをしたい時とか、高速道路でしっかりと合流したい時は、強力な加速に頼れる。しかも、思い切り瞬時に加速するので、少し慣れが必要。クルマを速く運転することに慣れている人なら問題ないだろうけど、運転にあまり自信がない人にはハンドルを握って欲しくないと思ったほどだ。僕が乗ったのは一番速い4WDパフォーマンス仕様車。そのアクセルを思い切り踏むと、ロケットのように加速し、ゼロから100km/hまでの加速はたった3.7秒ほどだ。ちなみに、後輪駆動車では6.9秒。

後ろから見た写真

2つ目は、たったひとつのペダルで加減速ができる、いわゆるEペダルだ。アクセルを踏むと、瞬時に加速し、アクセルを緩めると、回生ブレーキが働いて強く減速する。そして、アクセルを上手に踏んだり、離したりすることによって、ブレーキを全く踏まずに完全にスムーズに停止できる。もちろん、最初は少し慣れが必要だけど、一回慣れたら、運転が楽になる。特に僕みたいな毎日クルマに乗る人なら、ワンペダルだけで運転ができると、ぐっと疲れが減るはずだ。
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文=ピーター ライオン

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