マスクは、ツイッターの元サイバーセキュリティ担当者ザトコが先月公表した内部告発情報を使って対抗訴訟を訂正することができる、とキャサリーン・マコーミック判事が5ページにわたる裁判所命令で述べている。
この許可は大方の予想どおりだったが、マコーミック判事は命令書の中で、これは主張を有利にするための決定ではないことを指摘し「世界は判決後の決定を待たなくてはならないだろう」としている。
マスクの裁判は、ザトコの申し立てによって有利に運ぶはずだ。ザトコの証言は、ツイッターが偽およびスパムアカウントの数について投資家を誤誘導したことなどに関するマスクの指摘の一部を裏づける。しかしツイッターは、裁判を11月に延期したいというマスクの要望を、7日にマコーミック判事が却下したことについては勝利を収めている。
5日の裁判は予定どおり10月17日に開廷する。マスクの弁護団の1人であるアレックス・スピロは裁定を歓迎したことをフォーブス宛の声明で述べている。「訂正の申し立てを勝ち取ったことで法廷から真実を引き出すことに一歩近づくと期待しています」
ツイッター広報担当者は7日の裁定に関するコメントを拒んだが、同社が「10月17日からの裁判では私たちの主張を訴えることを楽しみにしており、マスク氏と合意した価格と条件で取引を成立させる意向です」とメールで伝えている。
「4週間の遅れであっても、正当化するには大きすぎる被害をツイッターに与えるリスクがあると私は確信している」とマコーミック判事が命令書で述べた。
3.6%。これはツイッターの株価が7日午前の取引で値上がりした数字だ。ツイッター株は40.05ドルで取引されており、マスクの買い取り価格である1株54.20ドルと比べて、まだはるかに安い。
ツイッターで最もフォロワーが多い人物の1人であるマスクは、同社のポリシーに対して再三反発している。2021年1月のドナルド・トランプ大統領のアカウント停止もその1つだ。マスクは4月にツイッター株の9.1%を買収したことを公表し、同月にツイッターは会社を非上場化するマスクの買収提案を受け入れた。このありそうにない協力関係は早々に悪化し、7月にマスクは契約を反故にする書類を提出し、ツイッターはプラットホーム上の偽あるいはスパムアカウントやボットの数について不誠実だったという彼の確信を理由に挙げた。ツイッターはすぐにマスクをデラウェア州裁判所に訴え、合意された条件で契約を遂行するよう求めた。内部通報者のザトコは、ツイッターがサイト上でのボットの追跡に関して「意図的な無知」のポリシーを貫いていたことを主張し、同社が数多くの「甚だしい」セキュリティ違反を犯していることもあわせて告発した。
フォーブスの推定によると、マスクの資産は2565億ドル(約37兆円)で、世界でも抜く富豪だ。マスクの富は主に、自身がそれぞれのCEOを務めているTesla(テスラ)とSpaceX(スペース・エックス)の持ち株からもたらされている。
(forbes.com 原文)