ビジネス

2022.09.16

突如現れすぐに品薄。注目の「Nothing」は退屈なスマホ業界を変えられるか

Nothing CEO カール・ペイ/ Forbes JAPANにて撮影


大学卒業後はシリコンバレーか中国で働いてみたいと考えていました。その頃、中国で携帯電話が登場し普及したばかりだったので、迷わず携帯電話会社を進路先として選びました。中国経済の成長期にあったので、ちょうどよいタイミングで中国に戻ったと思います。今では私のようなユニークな経歴の持ち主は珍しくありませんが、当時はまだ珍しかったので、チャンスに恵まれてラッキーでしたね。

───Nothingは社員300人以上を抱え、欧州、アジアで急成長しています

成功とはまだ言えません。道半ばです。チームには、「食物連鎖」について考えるようよく話しているんです。Ear(1)を発売した時は、私たちは食物連鎖の最下位のアリにしか過ぎませんでした。Phone(1)を発売後は、次のカタツムリの段階に達しました。だから、まだ小さな会社にしか過ぎません。

インタビューを受けるペイ氏
ビジネスでは初来日となるカール・ペイ。多様な業種業界の人物と接触を試みている。

今回の来日の目的の一つも、次なるステップのためです。日本では、携帯電話はキャリアを通して購入するので、提携先を見つけることが重要です。また、私たちはファッション・テクノロジーブランドと自らを位置付けているので、ファッション業界におけるクリエーターと意見交換することも目的としています。

───最後に、今後のスマートフォン業界について教えてください

スマートフォン業界の今後は、ネガティブな成長になると思います。スマートフォンはすでに成熟産業です。以前は、消費者は18カ月おきに新しい機種に切り替えていましたが、その期間が24カ月になり、今は36カ月とどんどん長くなっています。

一方で、私たちの暮らしの中でスマートフォンが占める比重は非常に大きい。毎日携帯電話に費やす時間を考えてみれば、一目瞭然です。また、最近、Appleが「後払い決済サービス」へ年内に参入すると発表しましたが、これによって消費者を抱え込み、様々なサービスを展開することが可能になります。スマートフォンはこうしたプラットフォームとしての役割に移行していくでしょう。当面はスマートフォンに変わる製品があらわれるとは思いません。スマートフォンの独走状態はしばらく続くでしょうね。

文=中沢弘子 写真=苅部太郎(人物)

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