新たな医療保険制度が米国労働者数百万人に医療給付の道をひらく

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今年のレーバー・デー(労働者の日、9月5日)に米国の雇用者が従業員のためにできる最良の行動は、従業員が自分たちのために行動できるようにすること。自分で医療保険に加入することだ。

「流行は繰り返す」の格言どおり、次の医療保険のトレンドは、数十年前からあったものかもしれない。「確定拠出型(defined contribution)」プランは、従業員が雇用者の提供する資金で自ら医療保険に加入するもので「確定給付型(defined benefit)」プランと違い、従業員が自ら保障内容を選んで加入する医療保険だ。

10年前、膨らむ医療コストと医療保険マーケットプレイスの新しいオプションによって、医療における確定拠出の時代がついに始まるだろうと専門家は予測していた。なかには、医療保険の確定拠出型はすでにやってきたと主張する向きもあったが、そうはならなかった。

従業員は自分たちのニーズにあったプランを得られ、雇用者は上がり続ける医療保険コストの財務リスクに歯止めがかけられる、という明確な恩恵にもかかわらず、確定給付型プランが広く浸透することはなかった。

eHealth(イーヘルス)は民間のオンライン医療保険マーケットプレイスで、今度こそそれを変えようと意気込んでいる。同社は先にIndividual Health Coverage Reimbursement Arrangement (ICHRA、個人向け医療保険償還制度)の商品を、従来の医療保険に加えて提供すると発表した。

ICHRAは、確定拠出プランの比較的新しい形態で、企業は従業員が医療保険に支払う費用のために固定額の財政支援を設定できる。従業員は自分に該当する医療保険の中からプランを選んで加入し、雇用者(あるいは第三者監視機関)は承認した金額を従業員に払い戻す。これらの資金は毎月の保険料や患者負担金などと同じく免税対象になる。

企業の規模によらずICHRAを利用できるが、医療給付を行いたいが資金的に困難な中小企業に特にアピールするだろう。大量退職時代の厳しい労働市場では特に、ICHRAは労働者の獲得を争う雇用者を助ける財政的に対応可能で予測可能な方法といえるだろう。

ICHRAに雇用者の支出額の上限はなく、多くの企業で従来の医療給付資格を得られなかったパートタイム社員を含め、全従業員がICHRAに加入できる。給付資格の待機期間を満了していない社員もICHRAプランに加入できる。
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翻訳=高橋信夫

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