存在感増すNYのテック企業
Primaryは、新ファンドでも投資手法を変えず、より大規模に展開する予定だという。「これまでやってきたことは非常に良く機能しており、軌道修正する必要はない。今は、従来の戦略をさらに強化し、全力で立ち向かう時だ」とスブルガは言う。
不動産王John A. SobratoのファミリーオフィスであるThe Sobrato Organizationで最高投資責任者を務めるChristy Richardsonは、Primaryがもはや実績のない新興ファンドの枠を脱し、重大な変曲点を迎えたと言う。
「上げ相場の間、多くのファンドは次のディールをクローズすることばかりに集中していたが、Primaryは耐久性のあるファンドを構築することにも同等に注力していた」と彼女は話す。
ニューヨークのテックエコシステムにより多くの投資家や起業家、従業員が押し寄せるようになり、Primaryはますますその実力を発揮している。「今後18カ月間で、全てのファームがニューヨークに拠点を構えるようになるだろう」と、昨年11月にシリコンバレーのある著名投資家は語った。当時、アンドリーセン・ホロウィッツやグレイロック、レッドポイントなどの大手ファームがニューヨークに事務所を構えていたが、それ以降、セコイアやインデックス・ベンチャーズなど、サンドヒル・ロードの老舗ファームもこぞってニューヨーク事務所を開設している。
スブルガは、西海岸のファームがニューヨークで存在感を増していることを歓迎する一方で、Primaryが数年前から培ってきた経験が優秀な企業に食い込む上で今後も有利に働くと考えている。同社がこれまでにシード出資したスタートアップの92%がシリーズAに進んでいる。
「老舗ファームは素晴らしい実績を出すだろう。しかし、ニューヨークでは試しに少し活動しているに過ぎず、彼らにとって西海岸が最も重要な地域であることは変わらない」とスブルガは言う。彼は、今後さらに多くのテック企業がニューヨークに重心を移す可能性があると予測している。
「サンフランシスコでレストランに入ると、タームシートを自慢したり、新しいストックオプションの付与や自社の上場時期について話をしている人で溢れているが、多くの人はこうした状況に疲れている」と彼は言う。もし、シリコンバレーが考える通り、ソフトウェアが世界を飲み込むのであれば、ソフトウェアはあらゆる産業を牽引し、ニューヨークでも金融サービスからメディアや広告まで、経済に大きな恩恵をもたらすとスブルガは考えている。
「ニューヨークがシリコンバレーと肩を並べるようになるとまでは言わないが、あり得ないことではない」と彼は語った。
(forbes.com 原文)