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2022.09.15 07:15

NYのスタートアップを支援する投資会社Primaryが600億円調達

Golden Dayz / Shutterstock.com

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今年4月、スタートアップへのシード投資を専門とするベンチャーキャピタル、「Primary」を率いるベン・サン(Ben Sun)とブラッド・スブルガ(Brad Svrluga)は、4億2500万ドル(約600億円)の資金調達を試みた。ここ最近はドライパウダー(ファンドがまだ投資に回していない待機資金)の調達ですら縮小し始めているにもかかわらず、ニューヨーク本拠の同社は、90日以内に全額を調達した。「これまでで最も簡単なプロセスだった」とスブルガは話す。

9月7日に開催されたPrimaryの年次会議「NYC Summit」で、同社は2億7500万ドルの4号ファンドと、最も成功しているポートフォリオ企業への投資を拡大するための1億5000万ドルのファンドを組成したことを明らかにした。過去2年で、同社の複数の支援先が評価額10億ドルを超えるユニコーン企業になった。

その中には、ID認証のスタートアップ「Alloy」や、ITサポート企業「Electric」、女性ビジネスリーダーのコミュニティ「Chief」が含まれる。サンは今年初め、フォーブスが発表する世界で最も高い実績を誇るベンチャーキャピタリストのランキング「ミダスリスト(The Midas list)」に初めて選出された。

Primaryの共同創業者でジェネラルパートナーであるサンとスブルガは、2014年に組成した1号ファンドの資金調達では非常に苦労したという。当時は、ニューヨークにテックスタートアップが集積する前であり、サンはミダスリストに名を連ねるある著名投資家に事業構想を話したところ、「正気じゃない」と言われたという。2人は、最初の6000万ドルを調達するのに2年を費やした。

その後の8年間でPrimaryは運営スタッフを充実させ、ニューヨークのスタートアップを支援するコミュニティイベントを開催してきたが、彼らの手法が受け入れられるまでには時間がかかったという。

「サンとスブルガの構想は評価したが、当時はまだビジョンに過ぎなかった」と、2018年に組成した2号ファンドからリミテッド・パートナーとなったVintage Investment PartnersのAbe Finkelsteinは話す。現在、Primaryのチームは50人近くに増え、彼らは年間約250のイベントを開催している。
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編集=上田裕資

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