「TikTok追放」を願う米テック業界、アップルCEOも懸念を表明

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米国のテクノロジー大手や議員たちは、中国のバイトダンスが所有する、地球上で最も急速に成長している動画プラットフォーム「TikTok」への警戒心を高めている。

9月7日にロサンゼルスで開催されたコード・カンファレンスの会場で、ニューヨーク大学スターン経営大学院のスコット・ギャロウェイ教授は、「TikTokは、他の企業を市場から追い出している」と、スナップCEOのエヴァン・シュピーゲルに語りかけた。

ピュー・リサーチ・センターの8月のデータによると、TikTokは今や10代の間でインスタグラムやスナップチャット以上の人気を誇っており、パンデミックの中で大人たちにもリーチを広げている。「米国のSNSが、中国からはアクセスできない一方で、中国企業が運営するTikTokは、米国企業の収益を奪っている」と、カンファレンスの司会者でジャーナリストのカーラ・スウィッシャーは発言した。

今年のコード・カンファレンスでは、世界を代表するテック企業やメディアのCEOたちが、中国のプラットフォームのパワーや急速な成長、監視能力について懸念を示した。TikTokは、主要なSNS企業の中で唯一、その場に出席していない企業としても注目された。

「世界中の企業がTikTokへの対応に苦慮している理由の一つは、投資額があまりにも大きいことにある。彼らのように新規ユーザーの獲得に、何十億、何百億ドルもの資金を投じられる企業はほかに無い」と、最近自社の従業員の約20%を解雇したスナップのシュピーゲルは述べた。

「TikTokは初期の段階から、莫大な資金を用いて規模を拡大してレコメンドのアルゴリズムを鍛え上げ、よりパーソナライズされたフィードを生み出した」とシュピーゲルは述べた。彼は、スナップチャットが今後、見知らぬ人ではなく、家族や友人とのつながりに焦点を当て続けることでTikTokに対抗していくと発言した。

グーグルのスンダー・ピチャイCEOもまた、特にYouTubeに関して、TikTokが最新かつ最大のライバルの1つであると指摘した。彼は6日のカンファレンスのインタビューで、「テクノロジー分野の競争は熾烈を極めており、TikTokのような予想外のライバルが現れた」と述べた。

一方で、グーグル、アップル、アマゾン、メタなどのIT大手を標的とした反トラスト法を主導している民主党のエイミー・クロブシャー上院議員は、近いうちにTikTokが規制対象に含まれる可能性があると警告した。

「TikTokに関する立法が行われる可能性は十分にある」と、ミネソタ州選出のクロブシャー上院議員は6日にスウィッシャーに語った。「それは国家安全保障に関連する法案かもしれないが、仮にTikTokがゲートキーパーの地位に達したら、彼らも規制対象に含まれる」と彼女は述べた。
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編集=上田裕資

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