元FBIの防諜作戦のプロが教える、交渉に勝つためのテクニック

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ジョー・ナバーロ(Joe Navarro)は、世界でも屈指のボディーランゲージ専門家だ。米連邦捜査局(FBI)で25年間にわたって防諜活動に従事したほか、小規模な行動分析班に所属していた時期もある。FBIを退職後は、ボディーランゲージ・アカデミーを創設し、ここで個人や団体を対象に、非言語コミュニケーションの極意を教えている。

そんなナバーロが、交渉術をテーマとするポッドキャスト「ネゴシエイト・エニシング(Negotiate Anything)」にゲストとして登場。自らの経験を元に、交渉を成功させるためのボディーランゲージの使い方について、最高のアドバイスを披露してくれた。

小さなことに宿る大きな意味


「人として生きている限り、誰でも常に交渉をしているものだ」とナバーロは指摘する。

「交渉」という言葉を聞くと、最初に思い浮かぶのは、弁護士や取締役会(などのビジネスの場)、そして争いごとだろう。しかし実際には、人は四六時中交渉を行っており、このことは忘れられやすい。

「何かを解決したり、物事を自分に有利な方向に持っていったりするために、人があれこれと策を練らない日など、1日たりとも存在しない」とナバーロ氏は断言する。そして「その大部分がコミュニケーションと関わっている」という。

さらに、たいていの人は、コミュニケーションの重要性を理解している場合であっても、言葉による明示的なコミュニケーションにばかり目を向けがちだ。確かに言葉は大事だが、行動も同じくらい重要だ。

「最大の誤りは、小さなことは大した問題ではないと思い込むことだ」とナバーロは指摘する。

ナバーロによれば、防諜活動の分野においては、行動を重視する考えから、明確な戦術をもって、相手との最初の接触からすべての動き方を計画することもあるという。どちらの諜報員が先に歩み寄るか?という問題に始まり、話をするのは誰か、そして手ぶりの使い方に至るまで、あらゆる事柄に目的があるのだ。

私たちの日常的なやり取りは、そこまで綿密に練られていないかもしれないが、ボディーランゲージを戦略的に使うべき状況というのは確かに存在するはずだ。

まず、これはあらゆる交渉ごとに当てはまる話だが、前もって相手方の性格や、動機付けとなる要因、目標を理解しておくことが成否のカギを握る。事前に分析をしておくことで、相手に対するベストなアプローチ方法、そして(明示的なもの、そうでないものの両方に関して)どのようなメッセージでコミュニケーションをとるべきかが見えてくるはずだ。

次に、可能であれば、相手に対して、自分は自信があり、力を持ち、その場を支配していることをアピールするよう心がけよう(ただし、自信がなさそうなふりをしたり、不安がったりすることが戦術の一部である場合を除く)。

「人間もやはり動物なので、群れのボス的な存在や、上下関係を誇示する行動には反応してしまう」とナバーロは指摘する。「より高い地位にあることを示す身振りには敏感になるものだ」
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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