イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムは、マイニングを用いる現行のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からステーキングによるプルーフオブステーク(PoS)に移行する。これにより、マイニング事業者は、イーサリアムのマイニングに使用していた特殊なコンピュータ機器を持て余すことになる。
カナダのマイニング企業のHIVE Blockchainは9月6日、マイニング機器の一部をクラウドコンピューティングに用いるテストを行っていると発表した。同社は、イーサリアムのイーサのマイニングに、エヌビディアのGPUを使用しているが、これらのGPUはAIのアクセラレーションや仮想シミュレーションなどの用途にも使用できる。
HIVE社は、8月に約500万ドル相当のイーサを採掘したが、ビットコインの採掘事業の拡張のために、保有するイーサを売却したという。
同じくカナダのマイニング企業のHut 8 Miningも、8月下旬にブリティッシュコロンビア州ケロウナのデータセンターに180個のエヌビディア製GPUを導入し、これらのマシンをAIや機械学習、VFXレンダリングサービス向けに提供すると発表した。
暗号通貨の価格の急落は、HIVEやHut 8などのマイニング事業者の収益を圧迫し、両社の株価は年初から60%以上下落した。
マイニング事業者は、イーサリアムのMerge後の代替手段の欠如にも悩まされている。クリプト関連の調査企業メッサリによると、イーサリアムのマイナーは2021年に190億ドル(約2.7兆円)近い収益を上げていた。HIVEを含むいくつかの企業は、イーサリアムクラシックなどの代替コインの採掘を検討すると述べているが、これらの暗号通貨の時価総額はイーサリアムの5%未満だ。
Mergeが成功した場合、GPUが転売市場に溢れることも予想されている。メッサリのアナリストのSami Kassabは、「追加の投資を行う意思があるマイナーは、データセンター事業やWeb3計算プロトコルのノードオペレータ/プロバイダに移行することを検討している」と述べている。
(forbes.com 原文)