ナイキの新素材「Forward」は製造時のCO2排出を大幅削減

(C)Nike

米スポーツブランドのNike(ナイキ)は、新たに開発した素材「Nike Forward(ナイキ フォワード)」が、10年前に「Nike Flyknit(ナイキ・フライニット)」がシューズで成し遂げたことをアパレル製品でも実現できると考えている。そして、完全に新しいファブリック素材を作ることは製品の未来に持続的なアプローチをもたらすと考えている。

ナイキの新素材ナイキ フォワードはニットではなく、布帛でもない。糸さえも使っていない。製造工程ではリサイクルされたプラスチック片から繊維を作り、主に自動車や医療業界で使用されているニードルパンチングという工程で針のついた機械を使って繊維同士をくっつける。そしてこのニードルパンチング工程で複数の薄いレイヤーをつなげ、好きなように衣服のレイヤーを作ることができる。

ナイキのイノベーションアパレルデザイン担当副社長カルメン・ゾルマンは「ナイキ フォワードは他とは異なるからこそ、違うと感じられる」と話す。「従来のニットや織物ではなく、二酸化炭素排出量を大幅に削減するまったく新しい素材だ」

ナイキ フォワードが使用される初の製品は今月8日に発売されるグレーのスウェットシャツで、装飾品(ジッパー、ひも先の金具、余分なトリム)や染料を使用していない。従来のフリースと比べて製造工程での二酸化炭素排出量を75%削減できるとナイキはアピールする。これは主に、複数の工程を省き、ニードルパンチングによって繊維を直接布地に変えることに注力しているためだ。

同社は「Dri-FIT(ドライフィット)」以来のアパレル分野での最大の進化とうたい、2012年に2つのシューズから始まったフライニットが今ではシューズラインナップ全体に広がっているのと同じように、ナイキ フォワードをブランド全体で使用するプラットフォームにすることを計画している。

ナイキのグローバルアパレル製品商品化担当副社長のアーロン・ヘイザーは「このプラットフォームは素材やアパレルに対する考え方をリセットする可能性があると確信している」という。
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翻訳=溝口慈子

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