創造性、知恵、親密さにおける男女差は「思い込み」の産物

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「知恵の専門家の中には、知恵は両性にまたがるはずだと主張する人もいます。つまり、知恵は特定のジェンダーグループに属する特性ではないのです」とジェステは説明する。「しかし、いくつかのジェンダー差は、私たちの社会が持つ文化的な女性や男性に対する期待に根ざしている可能性があるのです。そして、ジェンダー規範が変化し、男女平等が改善されれば、これらの差は小さくなっていくかもしれません」

ジェステによれば、ほとんどの社会で、女性と男性は幼児期から異なる扱いを受けており、このことが、知恵とは何かという考えや、賢い女性と賢い男性をどう区別するかに影響を及ぼしているという。そのため、女性と男性では、意識的・無意識的に知恵のつけ方が多少違ってくるのかもしれない。

知恵に関しては男女ともに平等に評価されるべきだが、ジェステはジェンダーに関係なく実践できる3つの知恵のスキルを紹介している。

1. 自分とは異なる背景や視点を持つ他者の視点を理解しようと努める
2. コミュニティの人々を助け、より大きな善に貢献する活動に参加することで、思いやりを育む
3. 意思決定のプロセスを焦らずに進め、全ての証拠を考慮することで、効果的な意思決定を実践する

親密さについて


European Review of Applied Psychology(欧州応用心理学レビュー)に掲載された、エメリ・コンスタントによる研究は、男女が恋愛関係においてどのように親密さを表現し、定義し、経験しているかを調べたものだ。従来の研究では、親密さとは「愛情の感情的要素」と定義されており、以下のような感覚に関連している。

1. 親近感
2. 絆(きずな)感
3. つながり感

コンスタントの研究は、こうした親密さの定義に以下のようなものを付け加えた。

1. 本来の対人関係(すなわち、自己開示と応答に基づいたもの)
2. 幸福および人間の行動にとって、充足感同様に不可欠なもの

さらに重要なことが、この研究によって明らかになった。

1. 女性は「コミュニケーション」「愛情」「心の距離感」を重視する傾向がある
2. 男性は「活動の共有」「余暇を共に過ごす時間」「性的親密さ」を重視する傾向がある

このような差異を乗り越えるには、お互いの人格を尊重し、誠実に対応することで実現できる対人関係の親密さが有効だ。そうすることで、お互いが相手の経験や親密さの表現に敬意を払うことができるようになる。

男女の性格や特性の違いは、競争的なものではなく、補完的なものとしてとらえるのがベストだ。新しい科学的証拠に照らして、私たちのジェンダーの固定観念を見直す時間をとってみると、それが特によくわかる。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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