この新しいテストは、暗い道で歩行者に衝突する割合が高いことに対処し、改善を促すために開発されたもので、この結果は、保険業界が出資する非営利団体である米国道路安全保険協会(IIHS)が米国時間8月30日に発表したものだ。
保険協会のデビッド・ハーキー会長は声明で「予想どおり、これらの対歩行者AEBシステムの大半は暗闇ではあまり機能しません」と語った。「しかしフォード、日産、トヨタがそれぞれ一部のモデルで優れた評価を得ていることから、自動車メーカーがこの新たな挑戦に対して立ち上がることは明らかです」とも語る。
20台近い中型車、中型SUV、小型ピックアップの対歩行者衝突防止性能の分析では、最高評価から最低評価まで「優秀」「上級」「標準」「信頼性なし」と評価された。最高評価の「優秀」を獲得したのはいずれも2022年モデルのフォード・マスタング・マッハ-E、日産のパスファインダー、トヨタのカムリとハイランダーだけだった。
連邦政府の推計によると、歩行者の事故死は2009年の低水準から80%近くも急増している。2021年に死亡した歩行者約7300人は、交通事故死者全体の約5分の1を占め、その約4分の3は、対歩行者衝突被害軽減ブレーキシステムの効果が低いという調査結果がある夜間に発生しているのだ。
保険協会が今年初めに実施した調査では、AEBシステムは歩行者の衝突を防ぐことができるものの、それは日中か明るい道に限られることがわかった。
Honda(ホンダ)のアコード、Hyundai(ヒョンデ)のパリセードとソナタ、日産のフロンティアとムラーノ、Subaru(スバル)のアセント、アウトバックの7台がそれぞれ「上級」を獲得した。
シボレーのトラバース、フォードのエクスプローラー、マーベリック、レンジャー、マツダのCX-9、フォルクスワーゲンのアトラス、アトラス・クロススポーツ、ティグアンの8台は「標準」評価を獲得している。
シボレーのマリブ、ホンダのパイロット、日産のアルティマ、トヨタのタコマの対歩行者AEBシステムは、暗闇の中で十分な性能を発揮できず、協会によれば、信頼性に値する評価を得ることができなかった。
しかし、夜間走行では不十分だったモデルの多くが、日中の条件下では良好な性能を示したという。
夜間のテストでは、道路を横断する大人と、走行車線の端を道路に沿って歩く大人という、一般的な2つの歩行者衝突のシナリオを設定した。それぞれのテストは2つの速度で行われた。5回のテスト走行での平均減速スピードに応じてスコアがつけられる。テストコース周辺の環境光は、満月の光量に近いものに設定されている。
ヘッドライトのハイビームとロービームのそれぞれが点灯している場合も別でテストし、ハイビームアシスト(他の車両がいないときに自動的にハイビームを点灯させる機能)を搭載している場合は、点数が調整された。
ちなみにロービーム、ハイビームともに、すべての試験速度で歩行者ダミーとの衝突を回避できたのは「優秀」評価を得た「パスファインダー」のみであった。
テストの詳細と各評価車両の具体的な内容については、こちらで確認できる。
(forbes.com 原文)