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2022.09.07

年間収益が3倍に成長 営業支援システム「マジックモーメント」12億円調達 

CEOの村尾祐弥(撮影=藤井さおり)

営業支援システムを提供する Magic Moment(マジックモーメント)は9月7日、シリーズB として12億円の資金調達を行なったと発表した。

既存投資家であるDCMベンチャーズ、DNX Venturesから追加投資を受け、新たに三井物産が加わった。

MagicMoment は、2017年に創業。営業担当者がセールス活動に関する情報を入力すると、最適なアクションの自動提案や一部プロセスを自動代行するシステム「Magic Moment Playbook」の提供に加え、自社の営業チームを派遣しクライアントとともに現場で営業活動を支援するサービス「CSBPO(カスタマーサクセス BPO)」を展開している。

例えば、担当者が媒体営業の際に得た「デジタルの広告媒体に興味がある」という顧客情報が Magic Moment Playbook に記録されると、デジタルメディアの媒体資料や直近の事例を案内するメールが自動的に送信される。

 CEO村尾祐弥(むらおゆうや)は、同社のプロダクトの意義を次のように語る。

「煩雑なタスクを自動化することで、忙しい営業担当者の生産性を上げることができます。『営業の仕事は、テクノロジーで代替できない』という意見もありますが、私自身も営業畑出身ですので、最後には人と人の関係性が残ると信じています。

人にしかできない業務だけを残して、テクノロジーに期待すればいいことは全て Magic Moment Playbook に任せる。その結果、担当者は目の前のお客様への価値提案に集中できるようになります」

 ターゲットの転換で苦境乗り越えた


急成長を続けるMagic Momentだが、村尾は「去年は苦しい時期だった」と振り返る。

「2021年の4月にシリーズAで6億6000万円を調達したあと、多数の問い合わせをいただきました。しかし導入企業のうち、スタートアップ企業にはなかなか受け入れてもらえず、解約に至るケースも少なくありませんでした」

村尾が考える解約の要因は2つ。

一つは、機能面。大企業と比較してメンバーの少ないスタートアップは、一人一人が複数の職種を兼務することが多い。そのため、請求書の発行や売り上げのチェック、レポート作成など、さまざまなタスクを担うが、そうした営業以外のあらゆる職種の業務をカバーするだけの機能が揃っていなかった。
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文=小野瀬わかな 取材・編集=露原直人

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