また、個別のワインと産地のパフォーマンスについては、高級ワイン取引プラットーフォムの「Liv.ex」やその公表する指数「Liv.ex1000」を追跡し、情報を入手している。
カルト・ワインを通じて高級ワインに投資している人は、現在「世界中におよそ数千人」だという。そのうち約30%がアジア、50%が英国と欧州、20%が北米の投資家だ。
また、同社と競合するワイン取引プラットフォームには、Alti Wine Exchange、Vint、Vindome、Vinovestなどがある。カルト・ワインは現物のワインが投資対象だが、他社のなかには、ワインの価値を投資家が共有する形での投資(ファンド投資)を取り扱うものもある。
「新たな」新世界ワインにも注目
カルト・ワイン・インベストメントはどのようにして、ポートフォリオに含めるワインを決定し、将来が期待できる生産者や産地を特定しているのだろうか?ギアリングはこれについて、「個別のワイン、産地の価値や成長の見通しについて、分析を行う投資委員会を組織している」と説明する。
そのデータは独自のAIシステムに蓄積され、それに基づき、生産レベル、ヴィンテージの品質、批評家たちの評価、価格、ブランド認知、市場動向、飲みごろの期間、入手可能度など、さまざまな変数を対象とした分析を行っている。
価値の上昇が見込めるワインや産地を見極めるためには、主に「品質に関する評判の高さ、批評家たちの評価、熟成の可能性(適格度)、再販の可能性、国際的知名度」の5つの点に着目するという。
「新世界ワイン」ではナパヴァレー産のワインに、これら5つの点で条件をクリアしているものが多い。だが、米国のワイン市場での投資に関しては「かなりの強気筋」だと自認するギアリングと彼のチームが注目しているのは、それ以外の産地だ。
それは、オレゴン州やカリフォルニア州のサンタ・クルーズ・マウンテンズ、サンタ・バーバラなど。特に、新たに政府認定ワイン用ブドウ栽培地域(AVA)となったウエスト・ソノマ・コーストには、さらなる可能性を見出している。米国以外では、ニュージーランドのセントラル・オタゴ地方、イタリアのいくつかの地域に関心を向けているという。