コロナ後遺症で働けない米労働者、失われた賃金は年30兆円超か

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引用された複数の調査に基づいて考えると、後遺症のために失われた米国の労働力は、フルタイムの労働者200万〜400万人相当と推計される。中間値の300万人は、米国の労働力人口の1.8%にあたる。

多いと思う人もいるかもしれない。だが、ハーバード大学のデビッド・カトラー教授(応用経済学)が別の方法で行った試算でも、同様の数値が示されている。

教授の研究では、発症から12週間がたっても3つ以上の症状が続いている人は、感染者の12〜17%。症状が重く働けない人は、およそ70%。後遺症で働けない人は、感染者数と労働力率からみて約350万人、失われた賃金は年間約2000億ドルと推計されている。

驚くような数字ではあるが、これらの推計が、後遺症がもたらす経済的負担のすべてではないことを忘れてはならない。これらは失われた賃金のみに関する試算だ。看護・介護人材の減少や、後遺症の患者が支払うことになる多額の医療費などは含まれていない。

感染・再感染する人が増えれば、後遺症に悩む人も増え続け、症状の継続に伴う経済的な負担は増大し続けることになる。後遺症の人が毎年10%ずつ増えればそれだけでも、10年後には失われた賃金は、年間およそ50億ドルに膨らむ。

この危機に対応するための方法としてブルッキングス研究所の報告書がまず挙げているのは、「感染防止ためのより良い、長期的な対策に焦点を当てるべきだ」ということだ。公衆衛生に関する対応としては、常に予防の方が治療よりも優れており、費用対効果も高いことがわかっている。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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