ユーロは5日午前、1ユーロ=0.99ドルまで下落した。ロシアによるウクライナ侵攻を受けてここ数カ月進んでいたユーロ安に、さらに拍車がかかった。英ポンドも一時1ポンド=1.1444ドルと、2020年3月以来の安値を更新した。ポンドは今年、主要通貨では下落幅がもっとも大きい通貨のひとつとなっている。
ガスプロムは2日、保守点検を理由にガスの供給を停止しているノルドストリーム1について、油漏れが見つかったとして停止を無期限で延長すると明らかにした。
これを受けて、週明け5日午前には欧州の主な株価指数も軒並み下落。ドイツのDAXは3.19%安、フランスのCACは2.31%安、スペインのIBEXは2%安を記録した。ロンドンのFTSE100種総合株価指数も1.13%安と、前週からのさえない値動きが続いた。リズ・トラス外相が次期首相に就くことになった英国も記録的なインフレに見舞われている。
このほか天然ガス相場も急騰し、指標のオランダTTF(10月物)は30%跳ね上がった。一時、1メガワット時あたり282ユーロと、ガスプロムがノルドストリーム1のガス供給を停止した8月につけた史上最高値に迫った。市場では週内に過去最高値を更新すると予想されている。
ノルドストリーム1はロシアから欧州への最大の天然ガスパイプラインで、欧州の当局者はロシアがウクライナ侵攻をめぐる西側諸国の制裁に対する報復としてエネルギー供給を武器化していると非難している。侵攻前、欧州は天然ガスの4割をロシアからの輸入に頼っていた。
ロシア政府は政治的な思惑で資源を利用しているとの見方を強く否定している。ノルドストリーム1の点検作業にかかわっているドイツの電機大手シーメンスは、ロシア側が主張する不具合はガス供給を停止する理由にはならないと説明している。
(forbes.com 原文)