米国の無保険者率がさらに低下へ、医療保険会社の後押しを受け

2022年8月16日、ホワイトハウスのステート・ダイニングルームでインフレ抑制法案に署名する米大統領ジョー・バイデン(中央)とそれを見守る民主党のチャールズ・シューマー上院院内総務およびジェームズ・クライバーン下院院内総務。7370億ドル(約100兆円)の同法案は、気候変動、医療費低減、およびクリーン・エネルギー雇用創生に焦点を当てたもので、最低法人税15%、株式買い戻し手数料1%、国税庁の強制力拡大などを実施する(Getty Images)

医療保険会社がより多くの州や郡にオバマケアを広める中、米国の無保険者率が史上最低水準に減少することが期待されている。

医療費負担適正化法(ACA)を推進することでより多くの米国民の医療保険の選択肢を拡大するための、バイデン政権と議会による投資の効果もあり、すでに国の無保険者率はわずか8%まで下がっている

ここでバイデン政権は、さらなる巨額投資と規制改定によってオバマケアとして知られている医療保険制度改革を強化しようとしている。先月バイデン政権は、個人の保険加入をサポートする「ナビゲーター」に1兆ドル(約141兆円)近い歴史的投資を行うことを発表した。

さらに先月、バイデン大統領が署名したインフレ抑制法によって、オバマケアに加入する米国人数百万人のために補助金が拡張される。この補助金制度は、2021年に米国救済計画法が通過して以来一時的に実施されたもので、医療費負担適正化法の下ですでに加入資格を持っていた人々への財政支援を強化するだけでなくこれまで補助金の「対象外」だった中間所得層にも拡大される。Kaiser Family Foundationの分析が示した。

「インフレ抑制法案の成立によって、推定1300万人が民間医療保険への支払いを年間平均800ドル(約11万2000円)節約することが可能になり、消費者が2021年と2022年にバイデン大統領の米国救済計画法で得られた節約を継続できます」と米メディケア・メディケイド・サービス・センターが先週語った。

医療保険会社はこれに応えて、オバマケアおよび医療費負担適正化法の下で適用される関連補償を販売するために、新市場に向けて前例のない拡大を行う。たとえば、先日ドラッグストア大手のCVS Health(CVSヘルス)は、同社の医療保険部門であるAetna(エトナ)が個人医療保険に新たに4つの州を加える最終承認が下りて計12州で販売することになったと発表した。保険大手のCigna(シグナ)も先週、医療費負担適正化法に基づく個人保険の販売事業を拡大し、2023年に3つの州を加えて計16州で販売する計画であると発表している。

その他の医療保険会社も近いうちに事業拡大を発表すると思われる。

医療保険各社は、自分たちが事業拡大することによって無保険者の減少が続くはずだと述べている。

「個人・家族向けプランの拡大、強化を継続することで、人間1人ひとりの健康をサポートする質の高い保険を、より多くの人たちに手頃価格で届けることができます」とシグナの個人・家族プラン事業プレジデントのリサ・ロウが、同社の2023保険年度オバマケア拡大計画を発表する声明で語った。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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