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2022.09.06

実店舗ビジネスの主要動向2022、進む小売業のイノベーション

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eコマースやデジタル経済と競合している実店舗にとっては、店舗での実体験の価値を高めることが非常に重要だ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が始まってから2年が経ち、店頭で買い物をする人が意外なほど多くなったのは、対面での体験を渇望して、コンピュータから離れ家から出たいと思うようになった人が増えたからだ。

こうした消費者行動の変化は、小売業者をユニークな立場に置くことになった。長期の閉店、労働時間の短縮、そして人出の少なさを経て、潮目が変わり、消費者は以前よりも対面での体験を高く評価するようになった。

ここでは、オフラインショッピングの主なトレンドと、変化する小売業界の中で企業がどのように対処しているかを見てみよう。

オムニチャネル


クロスチャネルでのショッピング体験は、eコマースと実店舗の両方にとって有益なはずだ。これまでは、eコマース側に有利な一方的なものがほとんどだったように思われる。

顧客はオンラインでお買い得品を探して価格を比較したがるし、店舗で商品を試着してオンラインでサイズを見つけ、ウェブで購入を済ませることが多い。ひどいときには、自宅でゆっくり試着するために同じ商品の複数のサイズをオンラインで購入し、保管しておくつもりのない余分なサイズをすべて最寄りの店舗に返品してしまうのだ。店頭での大量の返品は、実店舗の売上にはマイナスの影響を与えるが、顧客を惹きつけ、新しい商品を紹介する機会にはなる。

実店舗への利益をもたらすためにウェブを活用できている小売業はごくわずかだ。活用方法の1つは、正確で最新の在庫が消費者に見えるようにし、探している商品が店内のどこにあるのかを正確に伝えられることが重要だ。

例えば、多くの大規模小売業者は、ウェブサイト上で商品の店内位置(通路と場所)を正確に指定しているため、顧客は最初オンラインで買い物を始めるものの、結局最寄りの店舗に商品あることを簡単に見つけて、その日のうちに商品を手に入れることができる。

別の角度から見てみよう、Placerのレポートは以下のようにいう「デジタル・ネイティブ・ブランド(DNB)は、オムニチャネルショッピングの可能性について独自の視点を持っている。従来の小売企業の多くが店舗を起点としてオンラインに移行したのに対し、これらのDNBが開拓したオンラインのみのアプローチは、初期の成長における重要でしばしば唯一の道でもあった。しかし、いまや多くの人が可能性のある成功を掘り起こすために物理的な場所に目を向けるようになっている、そしてこのシフトは非常に重要なのだ」
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翻訳=酒匂寛

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