経済・社会

2022.09.05 11:30

英新首相に左派から保守に転向の「鉄の女」、トラスが選出へ

リズ・トラス外相(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)

英国のジョンソン首相の後任選びの決選投票の結果が9月5日、発表される。リズ・トラス外相(47)とリシ・スナク前財務相(42)の一騎打ちの結果、世論調査ではトラス外相が保守党党首と首相に就任することが予想されている。

2010年に国会議員になって以来、トラスは急速に政治の階段を上り、現在の外務大臣職を含め、デーヴィッド・キャメロン、テリーザ・メイ、ボリス・ジョンソンの下で多くの閣僚職を歴任してきた。

トラスは選挙戦で、当選したら減税やエネルギー税の廃止など、抜本的な経済改革を行うと公言し、生活費の高騰に対処するための新たな税の導入を否定している。スナクは、トラスの税制計画は非現実的であり、さらなるインフレを引き起こすと主張している。

党員投票の結果は5日に発表され、エリザベス女王はスコットランドのバルモラル城で次期首相を指名する。女王がロンドンのバッキンガム宮殿で首相を迎えないのは、在位70年にして初めてのことになる。ジョンソン前首相と後任の首相は、6日に別々にバルモラルに向かう予定という。

トラスの勝利は、ジョンソンの後任をめぐって争った保守党の政治家たちの苦難と喧騒の夏の終わりを告げるものになる。ジョンソンは、度重なるスキャンダルで国民の怒りを買い、主要閣僚らが相次いで辞任したことを受けて7月初旬に保守党党首を辞職した。

スナクは、サジド・ジャビド保健相とほぼ同時期に、ジョンソン政権の主要閣僚の座を辞任し、ジョンソンの振る舞いを批判した。ジョンソンは、世論の強い非難を浴びたにも関わらず、後に後継者が決まるまで1カ月以上首相の座にとどまると述べた。

トラスはもともと保守党ではなく、過去には中道左派の野党である自由民主党の一員だった。彼女は、オックスフォード大学で政治、哲学、経済学を学んでいた頃、大学の自由民主党の総裁を務め、1994年の党大会で王政廃止に賛成する演説をしていた。

その2年後にトラスは支持政党を変えて、保守党に入党した。ブレグジットに関し、トラスは当初、EU残留を主張したが、途中からEU離脱を断固として支持するようになった。これまで複数回にわたり立場を変えてきたトラスの政治的信念に関しては、多くの人が疑問を抱いている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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