ブランドや小売業者の中には、さまざまなワークアウトを提供するアプリを立ち上げているところもあります。彼らは共通の目的(この場合はフィットネス)に向かって、同じ考えを持つ人々が集まるコミュニティを構築する方法としてアプリを使用しており、アプリやコネクッテッド機器(LuluemonがMirrorに関して報告したように)を使ってワークアウトを行う消費者は、よりアクティブであればあるほど、アパレルの購入が増えることを報告しています。以下、アプリを導入している主要なフィットネスブランドや小売業者の例をあげています。
・Asics Runkeeper
2016年2月にAsicsが取得したRunkeeperは、全世界で3300万人以上のユーザーを持ち、iPhoneとAndroidで利用可能です。スマートウォッチアプリや他のフィットネストラッキングアプリやプラットフォームとの連携も可能で、スマートフォンのGPSを利用して、ルート、時間、距離を記録します。
Asics Runkeeper 出典:Asics.com
・Athleta
Athletaは2021年7月にAthletaWellを立ち上げました。このプラットフォームは、メンバーが会話に参加したり、自分で会話を始めたりができ、共通の趣味をもつグループ、ヨガの先生、医師、瞑想ガイド、筋力トレーナー、栄養士、物理療法士、動機付けスピーカーなどの「ガイド」へのアクセス、ランクラブやエクササイズクラスなど国内のバーチャルおよび対面式のイベントへの参加などを含む没入型のデジタルプラットフォームで、Athletaの顧客のコミュニティ形成に役立っています。
AthletaWellアプリ 出典:Athleta.com
・NIKE Run Club、Training App
Apptopiaによると、NIKE Run ClubとNIKE Training Clubのアプリは、いずれも人気アプリの上位を占めています。NIKEによると、2020年9月のパンデミック最盛期に、NIKE Training Clubアプリでワークアウトする会員の割合は過去最高となり、期間中にワークアウトを開始した会員の割合は全世界で50%を超え、NIKE Running Clubに関しては、音声ガイド付きランのダウンロード数が4カ月連続で100万件を突破したといいます。
2022年度第2四半期決算説明会では、Training ClubアプリでMegan Thee Stallion氏を起用した新しいウェルネスコンテンツとワークアウトを開始したと発表しました。同コンテンツは記録的なエンゲージメントを推進し、デイリーアクティブユーザーを倍増させ、同氏によるキュレーションされたルックは、同時期に閲覧された他の製品コンテンツと比較して2倍以上の需要があったとのことです。
NIKE Run Clubアプリの広告 出典:ニューヨークのフィフスアベニューにあるNIKE店舗ウィンドウ
What We Think
ホームフィットネス機器は、パンデミックにより閉鎖されたフィットネス施設に代わって、過去2年間に急成長しました。また、自宅でのオンラインワークアウトを求める消費者の間で、アプリの利用が急増しました。現在、生活は正常に戻りつつあり、ジムへの回帰を切望する消費者が増えています。
この2年間の家庭用機器の販売急増を経て、今後のホームフィットネスは大きく「ウェアラブル」と「デジタル」の2つの分野に集約されると予想しています。
ブランドや小売業者にとっての意味合い
・健康に対する消費者の関心がウェアラブル分野の成長を促進する
消費者は、運動と健康との関連性についてより深く知りたいと望んでおり、次のレベルのウェアラブルの成長を促進すると予想されます。
・ブランドや小売企業は、ターゲットを絞ったアプローチで、コミュニティとアパレルの売上を伸ばすことができる
デジタル空間は非常に競争が激しく、有益なコミュニティ構築のためには、ブランドは、誰に何のためにサービスを提供しているのかを特定する必要があります。自転車、ランニング、ヨガ、ハイキングなど、あらゆるニーズに対して消費者をサポートするのに特化したアプリやサブスクリプションは既に存在するため、その他の目標に焦点を当てる必要があるでしょう。実際、LululemonとNIKEはそれぞれ、アプリがアパレルの売上拡大に貢献したことを報告しています。
不動産会社にとっての意味合い
・フィットネスブランドは小売店との連携を模索中
フィットネス機器のブームが減速する中、Pelotonが2022年度第1四半期決算説明会で発表したように、コネクテッドフィットネス企業は小売店との提携を求めています。こうした提携は、フィットネスアパレルの売上だけでなく、製品やサブスクリプションの売上を促進するのに役立ちながら、店舗のトラフィックを増やすことができるため、両者に利益をもたらす可能性があります。
テクノロジーベンダーにとっての意味合い
・フィットネスの未来は、テクノロジーをバックボーンとした「サービスとしてのフィットネス」である
フィットネスがサービス指向のモデルへと移行する中、テクノロジープロバイダーは、消費者がジムに通うための選択肢となる機会を得ています。
※この記事は、2022年6月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。