学術誌『サイエンス』に2022年に掲載された、ある査読済み論文は、食肉業界が、抗生物質を使用して生産された食肉を「抗生物質不使用」と称して流通させている事実を暴露した。
同論文において、ジョージ・ワシントン大学の研究チームと、食品検査スタートアップ企業「フードID」のケビン・ロー(Kevin Lo)CEOは、7カ月の調査期間中、抗生物質不使用として流通していた牛肉の12%、肉牛の頭数にして3万8000頭以上からサンプルを採取し、検査を実施した。
フードIDは、調査対象の肥育場の各ロットから2頭ずつ、計699頭分のサンプルの検査をおこなった。検査結果から、抗生物質不使用ラベルの多くが疑わしいものであることが明らかになった。検査した肥育場の40%、すべてのロットの約15%で、少なくとも1頭の肉牛から抗生物質が検出されたのだ。
さらにこの研究によると、ホールフーズをはじめとする多くの小売店や食肉購入業者が利用している動物福祉認証プログラム「グローバル・アニマル・パートナーシップ」で認証された牛肉の25%以上から、少なくとも1度、抗生物質が検出された。論文の刊行時点でホールフーズは、抗生物質不使用と称して販売した牛肉のなかに抗生物質が使用されたものがあったことを否定していた。
訴状を提出した弁護士のひとりであるグレッチェン・エルズナー(Gretchen Elsner)は、消費者は「普通より高い料金を払ってシステムを支えているのに、システムの実態は、彼らが支持したいと考えているものとはかけ離れている」と指摘する。「消費者は、『工業的畜産には反対だ。相応の価格を支払って高品質な肉を食べたい』と考えて、ホールフーズに行く。だが実際には、ただ業界に余分にお金を払わされているだけなのだ」
(forbes.com 原文)