ビジネス

2022.09.23 11:00

カスタマーサクセスを加速させるコミュニティイベント「Pulse」とは


今回のPulseのテーマは、“Together, we’re unstoppable”。「共に加速し続ける成長を!」という前向きで熱量の高いメッセージが込められていた。

「Pulseはゲインサイトを利用するカスタマー同士が学び合う場であり、カスタマーサクセスを進化させ続けるためのものだ」と、同社のケリー・カポーティCCOは説明する。

プログラム内容も、ゲインサイトが自らの新しいプロダクトを紹介するよりも、業界のナレッジ共有やネットワーキングに重きが置かれていた。そこでは、カスタマーサクセスに関わるプロフェッショナルが、他社で同様の仕事をする仲間と出会い、具体的かつ実用的なヒントを得たり、お互いの成功を讃えあったりする光景が見られた。



3. カスタマーサクセスは企業経営の中核


「過去数十年の間に、カスタマーサクセスは、カスタマーサポートと呼ばれる消極的な一つの部門から、多くの部門が共有する価値へと進化した。カスタマーサクセスが、サービス指向のビジネスモデルの中核となったことで、今やすべての企業は、現在のオペレーションを棚卸しし、顧客の期待に応えているかどうかを確認しなければならない」

キャズム理論の提唱者、ジェフェリー・ムーアはこのように論じる。彼はPulseでも登壇し、ビジネスにおける“サクセス”の変遷とその成熟モデルについて解説した。

20世紀型はプロダクト・サクセス。オラクルやSAPに代表されるような基幹システムの導入が企業のグローバル化を支援してきた時代において、ベンダーはヘルプデスクやケース対応で“サポート”してきた。次のステップでは営業管理ツールやCRMが台頭。顧客側がより力を持つ関係性へと変化した。

そして、21世紀型のカスタマーサクセスのフェーズは、「アダプション・リテンション」、「よりよいオンボーディング(導入・定着化)」、「バリュー・リアライゼーション(価値の実現)」の3つの段階を進む。最も成熟度の高いバリュー・リアライゼーションにはアイデア創出のワークショップや経営改革までが含まれる。

カスタマーサクセスは、顧客に先回りして顧客の課題解決を進めるという役割において、経営コンサルティングに近くもあり、一方で企業に寄り添って成果を出すという意味においてはコンサルティング以上の役割を果たす伴走者なのだ。

B2BのSaaS事業においてカスタマーサクセスが企業価値を高めるということは、データにも表れている。マッキンゼーはB2B SaaSの上場企業40社を分析。NRR(Net Revenue Retention、売上継続率)が120%以上の企業は、同120%未満の企業と比較して、「企業価値/売上継続率」が高いという結果を示した。

また、Pulseでは「84%の投資家、82%のCEOが、市況が悪化したとしてもカスタマーサクセスへの投資は維持すると回答」というゲインサイト独自の調査結果も共有された。
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取材・文=Maki Nakata

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