計算してみると
利率5%の学生ローンで、利子と元本の返済のうち1万ドルが免除された場合、残りの返済期間にもよるが、年間では800~1500ドルの追加収入を得ることに相当する。
この金額は、パンデミック期間中の給付金と大差ない。ただし学生ローンは、従来の規則の下でも条件次第で帳消しになることがあることを考慮すれば、免除の額は見た目ほど大きくないだろう。
課税
また、返済免除額に州税が課税されるケースもある(連邦税は非課税)。これにより、政策の恩恵は目減りする。
インフレ率は上がるのか?
興味深いことに、たった一つの単純な理由から、今回の発表が米国経済のインフレを大きく加速させることはなさそうだ。その理由とは、長く続いてきた返済猶予期間の終了だ。債務者たちはこれまで、パンデミックを理由に、学生ローンの返済と利子加算の停止という恩恵を受けてきた。
返済の再開
学生ローンの返済は、2023年1月に再開する見込みだ。低所得世帯を対象とした返済免除により、多くの人々の負担は軽減されるが、それでも返済が再開することに変わりはない。この事実はおそらく、数年間にわたって支払いの必要がなかった消費者に、返済免除以上に大きな影響を与えるだろう。
返済の再開により、自由裁量支出が減少する結果、短期的にはむしろ、小さいながらもデフレ効果がもたらされるだろう。
もちろん、経済学者の間には、消費者はパンデミックの間じゅう学生ローンの返済資金を周到にプールしており、こうしたローン返済への長期的アプローチのおかげで、支出の減少は最小限に抑えられるという主張もある。この仮説が正しければ、2023年1月にはおそらくインフレが加速しているはずだ。
しかし、学生ローン返済の再開は、2023年の消費をやや減速させる可能性のほうがより高い。人々は、学生ローンの返済にあてるため、商品やサービスの購入にお金を使うことを控える必要に迫られるからだ。
(forbes.com 原文)