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2022.09.04

ドローン配送を当たり前にする、アルファベット傘下Wingの野望

IgorZh / Shutterstock.com

「今日、人々がオンデマンドで注文する商品の大半は、非常に簡単にドローンで配達できる」と、WingのCEOのアダム・ウッドワースは話す。

ウッドワースは今年2月までWingのCTOを務めた後に、CEOのポジションに昇格した。アルファベット傘下のWingは2019年に米連邦航空局(FAA)から航空事業者として認可を受けた。それ以来、25万個以上の荷物を届け、2022年4月にはダラス・フォートワース地区で史上初の商業ドローン配送サービスを開始した。

ただし、ウッドワースは全ての荷物がドローンで配送可能な訳ではないと話す。「数トンの砂利を移動させる必要があるなら、ダンプカーを借りるだろう。4ドアセダンの後ろに積んだりはしない」

しかし一方で、私たちがアマゾンやウォルマートで注文するアイテムのほとんどは、数ポンドの重さしかなく、そのほとんどが現在、排気ガスをまき散らすトラックで配達されている。

アイルランドのドローン配送スタートアップ企業Mannaによると、ドローン配送はトラック輸送の10分の1のコストを実現できる可能性があるという。また、電力で飛行する軽量のドローンを使って本や薬などを配送する場合の環境コストは、ガソリンで動く地上輸送よりも桁違いに低いことは明らかだ。

しかし、まだ大きな課題がある。豆乳入りのラテを注文したいときもあれば、新しいオーブントースターが必要なときもあるだろう。その両方に同じドローンを使うのは非効率だし、不可能な場合もある。

「空港にはさまざまな飛行機がそろっている。大型の輸送機もあれば小型の旅客機もある。それぞれが、用途ごとのニーズに合うものになっている」とウッドワースは話す。

Wingはこれまで膨大な数のテスト飛行を繰り返し、航空電子機器やモーターコントローラー、バッテリーなどの再利用可能なコアシステムに関する大量の情報を蓄積してきた。そして今、それをもとに再利用可能なコンポーネントのライブラリーをつくり、それらを組み合わせて、必要なドローンをすばやく正確に組み立てることが可能になった。

「私たちが行ったのは、さまざまな機体の構成要素を高度なプロトタイプのレベルに仕上げることだ。最終的には、必要なときにほぼ完成しているさまざまなデザインをライブラリから取り出して、短時間で稼働させることができるようになる」と、ウッドワースは言う。


ドローン配送拠点の「ネスト」

Wingは、ドローンの発着ポイントに、積み込み場所や充電システム、サービスエリアを統合した「ネスト」と呼ばれる拠点を作り、そこに4、5種類のドローンを配備する。ネストは、ショッピングモールや大型店舗、配送センターの屋上などに設置される。

「最近オーストラリアで実施した事例では、ショッピングセンターの屋上にネストを設置した。ダラスでは、ウォルグリーンの駐車場に設置した。必要なのは着陸パッドを置くためのスペースと、電源のみだ」とウッドワースは言う。

Wingは現在、ダラス、ヘルシンキ、キャンベラでドローン配送サービスを提供し、それぞれの拠点の営業エリアを拡大しようとしている。「長期的にはドローンによる配送は、どこでも利用可能なものになるはずだ」とウッドワースは言う。

「現状ではわずか1ポンドの重量の荷物をトラックで運んでいるが、もっと効率的で低コストのソリューションがあるはずだ。Wingは、そのビジョンを現実のものにすることを目指している」とウッドワースは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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