さらにフェデラーは、シューズをクレーで加工するのは、今のトレンドにもマッチしていると指摘した。オンの幹部たちと仕事をするなかで、特にそのことに気づかされたという。
「オンの人たちを見ていると、汚れたシューズがかっこいい、というトレンドをひしひしと感じた」と言うフェデラーだが、このコンセプトを最初に目にした時には違和感を覚えた、と認めている。それでも、「今ではこれを見て、いい味が出ていると思うようになった」という。
ロジャーRF2セットには、クレーが1袋付属する。これは、購入者が手に入れた「THE ROGER Pro」を自分好みにカスタマイズするためのもので、失敗なくクレー加工をするための方法を記した説明書も付属している。
2021年3月にフェデラー自身が最初に着用したザ・ロジャー・プロは、これまで1色のみで展開されてきた。ゼロ・グラビティ・フォームを使用したミッドソール、アウトソールに埋め込まれたカーボン製のSpeedboard、さらには、幅広の前足部分やラバー製のトゥキャップなどを採用したザ・ロジャー・プロは、プロレベルのプレイを想定してデザインされたシューズだ。
ファイグは、パフォーマンス重視のこのシューズに、ライフスタイルをデザインする彼自身のアプローチを持ち込んだ。ファイグとフェデラーは、共にイニシャルがRFであり、これがコラボレーションの出発点となった。
「ロジャーのRFというロゴは、非常に印象的だ」とファイグは語る。「だから、これを変えるのではなく、2乗の意味を持つ記号を加えることで、私たち2人を同時に表現できると考えた」
このロゴは、シューズの片方のクォーターパネルとタンに、デボス(凹)加工で刻まれている。また、反対側のクォーターパネルには、全米オープンテニスの会場となるニューヨーク・クイーンズに置かれた球体のモニュメント「ユニスフィア(Unisphere)」があしらわれている。
「ロジャーと私はどちらも、自分の仕事への意識が高く、情熱をもってそれぞれの技を磨いてきた」とファイグは語る。「2人とも、自分たちのジャンルでトップレベルとなり、それを維持するために努力している。職業の垣根を越えた、互いに対する敬意が基盤となり、デザインの過程でも互いに信頼感を持つことができた」
フェデラーは以下のようにコメントしている。「ロニー(ファイグ)は、スニーカーの世界に関して膨大な知識を持っている。そこに、テニス界での私の経験を合わせることで、共に胸を張れる、素晴らしいコラボレーションが実現した」
(c)KITH
ザ・ロジャーのオフコートモデルは、2020年に「センターコート(Centre Court)」から始まり、その後「アドバンテージ(Advantage)」「クラブハウス(Clubhouse)」の2モデルが加わった。これらの3モデルはすべて、オンが売りにするCloudTecおよびSpeedboardテクノロジーが採用されており、各人のライフスタイルにマッチするデザインと、パフォーマンスレベルの機能を両立している。
今回新たにラインアップに加わったザ・ロジャー・クラブハウス・ミッドは、クラブハウス・シリーズの新展開だ。ザ・ロジャーRF2セットでは、フェデラーの直筆サイン入りで提供されるほか、通常の製品ラインアップでは4色が展開される。
これらのデザインにはどれも、プロテニス選手がミッドカットモデルのシューズを好んで履いていた90年代のテイストが取り入れられている。
(forbes.com 原文)