お尻や腰にしびれを感じるなら、すぐさま病院へ
──腰椎椎間板ヘルニアの要注意な症状とは、どういったものでしょうか?
腰椎椎間板ヘルニアの痛みとして、腰を丸めると痛みが増して、反らすと痛みが落ち着いてくるケースが多いです。そして腰にある神経を圧迫して起こる病気なので、痛みだけでなく、お尻から太ももあたりにしびれが出てきたら、かなり可能性が高いでしょう。
──放っておくと、どうなりますか?
痛みやしびれが進行すると、足首や足の指に力が入らず、脱力したような状態になります。これが、何もないところでつまづく、といった症状につながることがあります。
また、足の親指を上に反らせるような、今まで当たり前にできていた動きができなくなった場合には手術が必要です。そして、尿や便が出にくくなる「膀胱直腸障害」という、新たな病気まで引き起こす危険性もあります。
──さらなる病気まで引き起こすとは……自分でできる応急処置はありますか?
痛みからしびれ、そして脱力の状態になってしまうと緊急性がとても高く、一刻も早い診断と治療が必要です。腰の痛みが2週間経っても取れない場合や、しびれを感じるようになった際には、すぐさま病院へ行くようにしてください。
腰痛があるなら、いまの筋トレ方法も見直すべき
──腰痛のたびにマッサージに行っていましたが、それだけではダメなんですね。
腰痛椎間板ヘルニアを発症している場合だと、椎間板にさらなる刺激をあたえてしまい、余計に悪化するおそれがあります。そうでなかったとしても、マッサージは腰回りの筋肉をほぐして血行を良くしてくれるだけなので、あくまで一時的な対処にしかなりません。
また自分の体に合っていない間違ったウェイトトレーニングやランニングなども、腰の状態を悪化させる原因になります。
──運動すれば良いわけではないんですね。
腰回りの筋肉を正しく強化することは、腰痛の予防につながります。けれど運動するたびに腰が痛くなるという場合は、フォームが間違っていたり、オーバートレーニングになっている可能性があります。
骨や筋肉、体の状態は一人ひとり違っているので、自分の体に合ったフォームや運動量をきちんと知っておくことが重要です。
──筋肉をつけること自体は、腰痛にとって良いことなんですね。
そのとおりです。骨の老化にはなかなか抗えないものですが、だからこそ周りにある筋肉を使ってフォローし、全身を支えられる強い体を作ることが大切です。
タンパク質にあわせて、きのこ類や魚介類に含まれるビタミンD、大豆や緑黄色野菜に含まれるビタミンEなどを一緒に摂ると、なお効果的です。
今の段階で何かしらの“つまづき”があるならば、それは年を追うごとにさらに増えていくだろう。今のうちから正しい身体づくりをはじめよう。
陣 彦善◎有栖川整形外科院長。腰痛、肩こり、膝痛などの整形外科疾患における保存的療法と予防医学の研究・実践に取り組む医師。著書に「医師が教える! 1分免疫エクササイズ」(世界文化社)がある。
(この記事はOceansから転記しております。)