就活戦線で見えてきたホワイト企業の「入社困難時代」

Avalon Consultingの竹内健登社長

次の人気企業ランキングは何の順位か、おわかりだろうか?

1位 ニトリ
2位 味の素
3位 伊藤忠商事
4位 楽天グループ
5位 花王
6位 アクセンチュア
7位 アサヒ飲料
8位 サイバーエージェント
9位 サントリーグループ
10位 旭化成

これは、2023年3月卒業予定の学生を対象に調査した『2023年卒 インターン人気企業ランキング』(Rakuten「みん就」より)である。学生にとって就業体験のしやすさ(1位のニトリは毎年1〜2万人がインターンに参加)や企業側のインターンへの工夫が反映されている。しかし、このインターン制度は、今年から意味合いが変わってくる。政府がインターンで得た学生に関する情報を企業の採用活動でも使ってよいと認める方針を正式決定したからだ。

「これは就活が一年前倒しされたことに等しい」と言うのは、キャリア教育機関「ホワイトアカデミー」を主宰するAvalon Consultingの竹内健登社長だ。同社は「ホワイト企業内定率100%」を請け負う、いわゆる就活塾である。

「これまで採用活動の解禁は大学4年の6月からとなっていました。しかし、経団連系の企業は表向きは解禁まで待っているので、外資系やメガベンチャーのように堂々と採用活動ができません。外資系などが優秀な学生の早い段階から囲い込むので、 経団連系の企業が不利になっていました。そこでインターン中の学生に関する情報を採用活動でも使用してよいと政府が容認したのです」

対象となるのは2024年度に卒業・修了する大学生や大学院生で、サマーインターンや秋冬インターンなど長期休暇に5日以上のインターンを行う場合である。だから、実質的に大学3年から就職活動が始まったようなものだ。インターンで双方が相性を見極められるためミスマッチによる離職を防ぐことになりそうだが、予測されるのは「インターン採用の競争激化」である。

竹内氏は「入社の本選考よりもインターン希望の方が倍率が高いケースもあり、3000倍という人気企業もあります」と言う。

学生に求める能力は年々上がっている


「ホワイト企業内定率100%」を掲げる竹内氏は、大手企業に勤める現役社員を講師として揃え、業界ごとのビジネススキルを養成しているという。

「例えば、総合商社希望ですべて落ちたという学生がやってきました。彼はTOEICで900点を取っており、海外生活も経験がある。納得がいかず就職浪人をしたというのですが、論理的思考が弱かった。筋道を立てて答えを導き出すことができなかったのです。こういう場合は、ケース課題をたくさん解かせることで基礎力を上げていき、5大商社のうちの一社に入社できました」
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文=Forbes JAPAN編集部 写真=​​太田隆生​​

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