そこに登場したのが、Loowatt(ルーワット)だ。ロンドンに拠点を置く同社は、都市部や携帯用に使用される水を使わないトイレを販売している。また、廃棄物を回収して処理し、バイオガスに変換して電気や調理用ガス、有機肥料を生成する循環型システムも活用している。
「私たちは、人間の排泄物を安全かつ持続的に処理できる場所に運ぶためのリンクを作りました」と、創業者兼CEOのバージニア・ガーディナーは述べる。
また、このシステムは「水洗トイレに匹敵するトイレ体験」をもたらすと彼女はいう。
水を使わない仕組み
トイレには廃棄物を入れる容器があり、地域のサービスチームが回収し、廃棄物処理施設に運ぶ。廃棄物の一部は、リサイクルやコンポスト用の材料に分離される。残りは化学物質を含まないし尿で、エネルギーや肥料の原料になる。
また、この新しい市場には顧客の決済を管理し、利用状況を追跡してデータを収集し、サービスの最適化に活用するソフトウェアもある。
英国とマダガスカルでの利用
マーケティングは2つのアプローチで行われる。まずは英国で販売し、イベント会場や工事現場などで利用されている。「英国で最も派手なイベントでも使われている」とガーディナーはいう。
新興市場では、主に一般家庭を対象としており、一般家庭は月々の使用料を支払い、トイレは週に1回サービスを受ける仕組みになっている。同社は過去5年ほどマダガスカルで試験運用を行い、現在は巨大な新市場となりうる南アフリカに足を踏み入れている。この取り組みは政府の支援を受けており「ポータブルセクターの主要なプロバイダー」と協力しているとガーディナーはいう。
どの事業者が廃棄物を受け入れるかは、その都市のインフラによって異なる。マダガスカルでは、市が運営する小規模で分散型の嫌気性消化装置のネットワークに廃棄物は運ばれ、肥料や燃料に転換される。英国では、消化装置はより大規模で集中型の施設に設置され、このプロセスは排水処理のための施設運営の一部となっている。