テクノロジー

2022.09.03 10:00

NASAが太陽系外縁部にあるボイジャー1号の重要システムの問題を解決

(c)NASA

8月30日、NASAのジェット推進研究所は宇宙探査機ボイジャー1号が不明瞭なデータを送信する原因となっていたコンピュータの問題を解決したと発表した。今回の問題が、地球から最も遠いところにある人工物の「長期的な健康の脅威」にはならないだろうと技術チームは信じている。

NASAは2022年5月、ボイジャー1号が、同機のAACSと呼ばれる重要な姿勢制御システムから無効な情報を送信し始めたことを発表した。技術者らは、探査機が情報を地球に送る前に、長期間使用されていなかったコンピュータが通じて何らかの理由でデータ処理し始めたことを突き止め、データを動作しているコンピュータに経路変更することで問題を解決した。

ボイジャー1号がなぜ誤ったコンピュータを使い始めたのか理由は明らかになっておらず、NASAは「探査機の別の部分に問題があることを示唆している」可能性に言及したが、ミッションを危険にさらすものではないと信じていると語った。ボイジャー1号は、自身の「健全性に関する破損したデータを送信していた期間も、科学データの送信は継続しており、地球からの指令も受け取っていた」とNASAは述べている。

「私たちは慎重ながらも楽観視していますが、調査すべきことはまだ残っています」とボイジャープロジェクトマネジャーであるスーザン・ドッドは声明で述べた。

NASAは宇宙探査機ボイジャー1号を1977年に打ち上げ、太陽系外縁部から最終的には星間空間まで探索することをミッションとしている。NASAによると、同機は2021年8月25日に、星間空間に到達した初の人工物体となり、磁場や星間ガスなどの現象の測定を続けている。搭載されているカメラは、電力とメモリー容量節約のために1990年に停止されたとNASAは伝えている。

146億マイル(235億キロメートル)以上。それがボイジャー1号の地球からの距離だ。今も探査機は、時速6万1100キロメートル以上の速度で地球から離れ続けている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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