新たに追加されたキャラクター、癒し手のブロンウィン (C) Amazon Studios
新キャラ追加で“誰もが楽しめる”作品に
「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」は、多くのファンタジーファンが知る、そして映画三部作やホビットシリーズなどの映像作品だけではない。関連するゲーム作品、あるいはその世界観を参考にした他の著作やロールプレイングゲームなどの元になった指輪物語が原作であり、そこに“既視感”はないのか。あるいは、あまりに精緻な描写と世界観の深さが、カジュアルに映像を楽しみたい多くの視聴者にとって重すぎるのではないか、という懸念もあるだろう。
しかし、J.D.ペインは「この作品は基本的には人間ドラマです。巧みに組み立てられたドラマを、まずは映像作品として楽しんでいただけるように作りました。物語はシーズン1で8話構成、トータルでは50話が製作されることが決まっています。ドラマを楽しんでいく中で、作品の中にあるトールキン世界の深みや、散りばめられた細かなこだわり、布石などを感じていただければ幸いです」と話す。
本作を現代の娯楽作として、誰もが楽しめるドラマに仕立て上げるため、本作のスタッフたちは新しいキャラクターをいくつも追加している。
“中つ国”の辺境サウスランドに住む人間の母子、ブロンウィンとテオは小説には登場しない新しいキャラクターだが、ドラマの中で“現代社会”と“ロード・オブ・ザ・リングの世界”をつなぐ役割を果たす。
テオを演じるタイロー・ムハフィディンは「サウスランドの住民は何かにもがき、苦しみながら生きている。視聴者は彼らに同情を寄せつつ、自分達の境遇とも照らし合わせ、彼らの感情に共感できるよう物語が進むのです」と明かした。
テオの母親ブロンウィンを演じるナザニン・ボニアディは「二人の祖先は、善より悪の方を選び没落した人間でした。しかし彼らは過去の足かせを乗り越え、為すべきことを為そうと決意します。二人を通じて現代に生きるドラマ視聴者が物語の世界に繋がりを感じられると思います」と示唆した。
このほかにも、原作にはない重要キャラクターはいくつも設定されている。ヌーメノール王国の存亡に深く関わるヌーメノール人エレンディルの娘エアリンは、バラバラになりそうな一族の絆を繋ぎとめようとする役柄だ。
エアリンを演じるエマ・ホルヴァスは「“家族とは何か”をドラマティックに描くためにエアリンが必要でした。母を失った弟と妻を失った父、その両極の真ん中でエアリンが家族の普遍的な結びつきを体現します」という。