InterPlanetary File System(惑星間ファイルシステム)やFilecoinなどの分散型データストレージプロジェクトで知られるオープンソースの研究開発機関、プロトコルラボ(Protocol Labs)は約50人のソフトウェアエンジニアの採用を目指しているが、同社の担当リーダーのDietrich Ayalaによると、問題は質の高い人材が不足していることだという。
Avalancheの開発元のAva LabsのプレジデントのJohn Wuは、「この分野は急速に発展しており、物事の変化も速い。その変化に対応できるマインドセットを持つエンジニアが求められている」と話す。同社の競合のSolanaのコミュニケーション担当のAustin Federaは、「この分野は、特定のプロジェクトに10倍のエンジニアを投入したからといって、10倍の成果を出せる訳ではない。その分野に適した人材が求められる」と語った。
暗号通貨の下落で報酬も減少
一方で、暗号通貨の価格の下落がこの業界の苦境に拍車をかけている。一部の報道によるとクリプトのスタートアップは、経験豊富なエンジニアに40万ドル以上の年俸を提示しているが、Web3で働く人の60%以上が、給与の少なくとも一部を暗号通貨で受け取っている。このような報酬形態は、右肩上がりの市場では大きなメリットになるが、市場の低迷時には弱みとなる。
しかし、良いニュースは、この業界は弱気市場でも働き手の数を維持できている点だ。Electric Capitalによると、前回の暗号通貨の冬の2018年から2019年にかけて、市場がピークから80%以上下落しても、アクティブなブロックチェーン開発者の数は約1万1000人で横ばいだったという。
アルファベットやマイクロソフト、アマゾンなどのテクノロジー大手が、同じカテゴリの人材の獲得を巡って争い、オークションハウスのサザビーズ、ボーイング、ウォルマートなどもこの分野に参入しているが、Ava Labsのウーは、「すべての企業が、Web3を正しく理解している訳ではない」と指摘した。
「最近のニュースでは、Web3への開発者の流入がやや減少している模様だが、Web3への移行を決断した人は、もう戻れないと思う」と、ウーは楽観的な見方を語った。
(forbes.com 原文)