Web3のスタートアップを悩ませる「人材獲得戦争」の行方

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暗号通貨やNFT、分散型金融(DeFi)などのブロックチェーン技術を基盤とするWeb3分野のテクノロジー企業は、インターネットやグローバル金融の未来について壮大なビジョンを語っている。しかし、それを実現するための人材不足が大きな課題となっている。

暗号通貨に特化した投資会社のElectric Capitalのレポートによると、ビットコインやその他の暗号通貨が最高値を記録した昨年の末には、毎月約1万8500人の開発者がWeb3のプロジェクトに貢献していたという。

「この数字は過去最高で、かつてないほど急速に成長している」と同社のMaria Shenhは書いているが、調査会社SlashDataのデータによると、Web3の開発者の数は直近で3110万人とされる世界のソフトウェアエンジニアの一片に過ぎないのが実情だ。

フェイスブックの親会社のメタやアマゾン、アルファベットは、それぞれ2万人以上のソフトウェア開発者を抱えており、JPモルガンやシティグループの2社の金融サービスのプロジェクトも、それぞれ3万人以上のエンジニアを雇用しているとされる。

「現状でアクティブなブロックチェーンの開発者は月間数千人程度とされており、このギャップは克服し難いと感じている」と、ブロックチェーン開発企業Reachの共同創業者でCEOのクリス・スウェナーは話す。

ブロックチェーン開発には、スマートコントラクトの実装に使われるSolidityやRustといった専門的なプログラミング言語の知識が必要になるだけでなく、「エンジニアたちの根本的な行動の変革が求められる」とスウェナーは指摘した。

彼が2019年にボストンで設立したReachは、Algorandブロックチェーンのクリエイターらに支援され、、分散型自律組織(DAO)やNFTなどのアプリケーション開発のためのツールキットを提供している。

Web3関連のエンジニアが不足していることは明らかで、IndeedやTrueUpなどのサイトには、おびただしいほどの数のこの分野の求人があふれている。しかし、ブロックチェーン分野の専門家は、ここには別の課題があると述べている。
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編集=上田裕資

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