ワシントンDCの法務長官Karl Racineは、セイラーが10年以上もワシントンDCの居住していながら、所得税を一度も支払っていないと述べ、彼の数億ドルの所得に対して「法的に納税の義務がある」と主張した。
セイラーはフォーブスに宛てた声明で、自身がフロリダ州在住であるとしてこの容疑を否定し、「法廷での公正な解決」を期待すると述べた。また、マイクロストラテジーは別の声明で、この問題を「個人の税務問題」とし、同社がセイラーと共謀したことを否定しつつ、不正な告発に対して「積極的に防御を行う」と主張した。
今回の訴訟は、セイラーの苦境に追い打ちをかけるものだ。マイクロストラテジーは、2020年に10億ドル以上のビットコインを購入したが、その後の暗号通貨市場の暴落で巨額の評価損を計上し、今年第2四半期の決算は、約11億ドルの純損失となった。これを受け、セイラーは8月3日に同社のCEOを退任していた。
ワシントンDCからの訴えを受け、セイラーは声明でこう述べた。「10年前、私はマイアミビーチに家を購入し、バージニア州からそこに住居を移した。マイクロストラテジーは、バージニア州に拠点を置いているが、私はフロリダで暮らしており、そこを生活のベースとしている」
マイクロストラテジーは、ワシントン郊外のバージニア州タイソンズコーナーに本社を構えている。セイラーの指揮下でビットコインへの投資を強化した同社は、2020年以降に約40億ドル相当を購入した。しかし、ビットコインの価格は昨年のピーク時の6万7000ドル台から現在は2万ドル付近に落ち込み、同社が保有するビットコインの価値は26億ドルに減少した。
セイラーの保有資産は2020年当時には20億ドルを超えていたが、その後のビットコインとマイクロストラテジーの株価の下落により、現在は10億ドルを下回っている。
(forbes.com 原文)