同社が手がける「oVice(オヴィス)」は、オンライン上のバーチャル空間でアバターを自在に動かして、他の参加者に話しかけたり、会議したりすることができるサービスだ。相手との距離に応じて声の大きさが変わるなど、物理空間に近い感覚で利用できることが特徴。2020年8月のサービス開始以降、バーチャルオフィスやオンラインイベント、オープンキャンパスなどの用途で利用されている。
コロナ禍に伴うテレワークの普及を背景に急成長を遂げており、22年8月時点での導入企業・団体数は約2200社。毎朝oVice上には6万人以上が出社している状況で、同社のARR(年間経常収支)は過去1年間で約3倍に拡大している。
米国の利上げやウクライナ情勢などの影響で、国内スタートアップの資金調達環境は前年よりも厳しくなっているが、シリーズBとしては比較的大型のファイナンスを成功した理由について、同社CFOの盛島正人は、「このフェーズの会社としては珍しく、トヨタ、サッポロビール、アストラゼネカ、リコーなど、多くのエンタープライズのお客様を獲得できていることが海外投資家から高く評価された」と話す。「MRR(月次経常収支)の半分程度をエンタープライズから得ている。導入後にアップセルするケースが多く、これがトップラインの伸びを加速させている要因だ」。
調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)によると、バーチャルオフィスの国内市場規模は20〜25年にCAGR(年平均成長率)96.8%で拡大し、25年には95億円となる見込み。ポテンシャルは大きい一方で、新規参入する競合も増えている。
oVice代表取締役CEOのジョン・セーヒョンは、「競合はリモートワークのためのプロダクトとして訴求しているが、我々は完全なオンライン化が進むとは思っていない。この市場のパイオニアとして、オフラインとバーチャルの世界を分けるのではなく、両者がシームレスにつながる環境をつくっていきたい。ハイブリッドワークに向けたソリューションで差をつける」と話す。