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2022.09.01

売れ続けて20年超、海外にも広がるほぼ日「TECHO」の世界

2023年度版ではムック本『ONE PIECE magazine』とコラボレーション。10月1日から発売予定

コピーライターの糸井重里が1998年に創刊したウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」。創刊以来まったく広告を載せず、サイト内で販売する雑貨や書籍などからの収益でのみ運営されている。2017年には運営会社のほぼ日がJASDAQ市場(現在はスタンダード市場)に上場し話題になった。

その屋台骨となっているのが、2023年版で22年目を迎えるロングセラー商品「ほぼ日手帳」だ。ページ内は方眼紙で、日付は入っているものの、空欄部分が大きいのが特徴だ。「持つ人が自分の生活やスタイルに合わせて自由にのびのび使える『LIFEのBOOK』」と定義されている。

初年度は1種類1万2000部だったのが、手帳本体のバリエーション増加や手帳カバーの多様化などで2010年には54種類(本体は3種類)35万部までに成長。2019年には最高売上げの85万部を記録した。現在は70万部台に減らしてはいるが、「手書きの喜び」を求める世界中のユーザーからの熱い支持を受け続けている。

手帳本体に加え、オリジナルのカバーなど関連アイテムは100以上。毎年ラインナップを増やし続けてきた。2023年版では海外での人気の高まりを受けて、英語版を1種類から3種類に増やし、9月1日から発売する。


2023年度のカズン英語版

海外展開で広がる「TECHO」の世界


ほぼ日手帳の企画担当リーダーである星野慎子によると、海外でも使い方は日本と同様で、「絵を描く」「ライフログを残す」といったものだ。

海外のユーザーに「ほぼ日手帳ってどういうもの?」と聞くと「It’s a TECHO. 予定帳でも、日記でも、ノートでもありません。全部を兼ねています」と返ってきたという。ほぼ日手帳は、そのまま「TECHO」というオリジナルの存在として認知されているようだ。

ほぼ日として特に海外展開に力を入れてきたわけではないが、自然発生的に人気が広がっていったという。2023年度版から大判の「カズン」サイズの英語版をラインナップに加えたのも、ユーザーからの要望を受けてのことだ。英語版発売を発表したSNSへの反応も熱く、「待っていてくれた人たちがいるんだ」と実感していると星野は言う。
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文=北本祐子

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