ここ最近、多くのテック企業が苦戦している中で、AtoBの共同創業者でCEOのVignan Velivelaは、同社が評価額8億ドルで資金調達を完了したとフォーブスに語った。このラウンドには、投資家のElad Gilとゼネラルカタリストが主導する7500万ドルのエクイティによる調達と、8000万ドルのデットファイナンスが含まれている。この資金で、これまでほぼステルスモードだったAtoBは、事業を拡大することになる。
「もっと高い金額も提示されたが、より質の高い投資家を選ぶことにした」とVelivelaは語った。
現在32歳のVelivelaは3年前、自動運転開発企業クルーズのエンジニアとして勤務していたときに、元ウーバーのTushar Misraらと共にバス用のウーバーを立ち上げた。パンデミックの発生後、彼らはすぐにトラック運転手向けの決済ツールの事業にピボットを行った。
そして、カリフォルニア州ストックトンなどのトラック輸送の中心地を訪れ、トラック運転手のニーズを探るうちに、WexやFleetcorが提供する燃料カードについて知り、もっといいものができるのではないかと考えたのだ。AtoBは、トラック運転手が燃料の価格や正確な燃料費などを確認できるダッシュボードを作り、車両追跡ソフトと連携させている。「テレマティクスを活用することで、不正を防止し、燃費を向上させることができる」とVelivelaは言う。
AtoBの手数料無料の燃料カードは、1ガロンあたり5セントの割引を提供し、約2万5000社の運送会社やその他の商業ドライバー(スクールバスや救急車などの運転手を含む)に支持されている。最近では給与計算のプロダクトも発表した同社の今年の売上は、2000万ドルを超える見通しだ。AtoBは、フォーブスが企業価値10億ドル達成が見込まれる新興企業を選出する「ネクスト・ビリオンダラー・スタートアップ(次世代スタートアップ)」の2022年版にも選出された。
ゼネラル・カタリストのヘマン・タネジャ代表は、「彼らの市場参入モデルとその規模拡大には目を見張るものがある。これほど早く、これほど多くの顧客を獲得する企業は珍しい」と語った。
AtoBは現在、トラック運転手を対象とした、銀行をスポンサーとする銀行口座の開設にも取り組んでいる。また、カナダやメキシコをはじめとする海外展開も視野に入れている。燃料カードについては、電気自動車(EV)の導入が進めば、運転手がより少ないコストで効率的に充電できるようになるとVelivelaは考えている。
「我々は、ドライバーが信頼できる決済システムを提供していきたい。今の運送業界は、インフラが古く必要なソリューションを提供できていない」と、Velivelaは語った。
(forbes.com 原文)