ANAの「地上でも働くCA」 機内で鍛えた逆算仕事術で活躍

ANAグループ会社「ANA X」での勤務の傍らCA業務を兼務する吉村祐子氏(右)、航空機のサービス品質向上関連業務を経てCA職に完全復帰した白鳥裕子氏(写真=帆足宗洋)


「客室」の外の世界を見たからこその相乗効果


──逆に、SAでの経験は今後のキャリアにどのように影響が?

白鳥:100%乗務に戻って3カ月が経ちました。お客様の目の前でサービスや保安業務が行えることには、改めてやりがいを感じています。

SAの業務を経験したことで、CAの保安業務、サービス業務の知識を深めて視野を広げることが、SAとしても役に立つことがわかりました。一方で将来的に、SAに戻りたいという気持ちも芽生えましたね。

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吉村:SAとして2年目の今、SAとして、客室と出向先『ANA X』との架け橋として、少しずつ役割を果たせてきたのかなと思うことがあります。

先月、ANAの客室乗務員向けにデジタル領域の勉強会を行ったのですが、その後にCAの皆さんから様々な質問や感想をもらい、機内で生かせる知識や情報などを伝えられた実感がありました。SAの役割は大切だなと改めて感じました。

また、現在の業務が、次の自分の社内キャリアでどう活かせるかを意識しながら取り組んでいきたいと思っています。

──「自分の進むべきキャリア」を考えている人たちへのメッセージは

白鳥:CAとしてのキャリアを邁進するのも一つの道ですが、私は「客室」の外の世界を見てきたからこそCAの役割を再認識することができ、お客様と接する業務ができることのありがたさを学びました。そんなキャリアの選択肢があることをもっと知ってもらいたいです。

吉村:地上のデスクワークで、乗務の仕事だけでは出会えなかったプロフェッショナルな方々と机を並べていることは、間違いなく自分の糧となっています。

実際に、1便のフライトを安全に快適に飛ばすために、表には見えないところでたくさんの部署の人たちが対策を講じていることを、SAという職務を通じて知ることができました。これまで学んだことを、これからは様々な形のサービスとしてお客様に提供していきたいと思っています。

※取材は感染対策を徹底し、会話中はマスクを着用、撮影時のみマスクを外して行った。

文=堤直子 編集=石井節子 写真=帆足宗洋

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