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2022.08.30

在宅フィットネスのペロトン、アマゾンで製品販売 業績立て直しへ改革急ぐ

rafapress / Shutterstock.com

フィットネステック企業のペロトンが先週、一部の自社製機器についてアマゾンでの販売を始めた。市場で好感され株価は急騰したが、その後発表した四半期決算が振るわず、一転大幅安になった。同社はコロナ禍の「巣ごもり」需要の後退で落ち込んだ業績の立て直しを急ぐが、改革は道半ばだ。

ペロトンは8月23日、自社のエクササイズバイクや「ガイド」と呼ぶトレーニング用機器、精選したアクセサリーやアパレル製品を初めてアマゾンでも買えるようにした。バイクの配送は米国内の大半の地域に対応しているという。ペロトンの新製品はこれまで、同社のEC(電子商取引)サイトや内部の販売ルート、米国のほか英国やカナダ、ドイツ、オーストラリアにあるショールームでしか購入できなかった。

アマゾンでの販売開始が伝わると同日のニューヨーク株式市場でペロトンの株には買いが集まり、前日比2ドル近く高い13.57ドルまで値を上げた。

だが、25日にペロトンが発表した2022年4〜6月期(第4四半期)決算は、営業損失が約12億ドル(約1670億円)に膨らむなど予想よりも悪い内容だった。これを受けて同日はペロトン株に売りが広がり、急反落した。

ペロトンの株価は、コロナ禍を背景とした在宅エクササイズの人気がピークだった2021年1月には160ドルを超えていたが、今年7月には10ドル以下まで落ち込んでいる。同社は2012年に設立され、現在の会員数は700万人弱。

ペロトンは、同期の赤字のうち4億1500万ドルは事業再構築(リストラ)にともなうものだったと説明している。バリー・マッカーシー最高経営責任者(CEO)兼社長は同日公表した株主への手紙に、この損失は「現在と将来の過剰在庫の削減、固定費の変動費転換、サプライチェーン問題への対処など、事業の再構築で直近四半期に大きな進展があったことの表れ」だと記した。

ペロトンのフリーキャッシュフローは、第4四半期に先立つ半年には四半期あたり6億5000万ドル(約900億円)のマイナスだったが、第4四半期には流出幅を4億1200万ドルに減った。同社はまた、アマゾンウェブサービス(AWS)の幹部だったリズ・コディントンを新しい最高財務責任者(CFO)に迎えるなど経営陣の入れ替えを進めているほか、供給契約の再交渉、アマゾンと提携した小売りチャンネルの多角化などにも取り組んでいる。

キャッシュフローについては、2023年度下期に四半期ベースでプラスマイナスゼロにすることをめざす。今月には、会員サポートのリソースの約半分を外部委託に切り替えるほか、米国内のラストマイル配送は外部業者に全面委託することも発表した。これらの改革によって従業員を約760人減らし、年間約4500万ドル(約62億円)のコスト削減を見込んでいる。

アマゾンへの出店により、ペロトンは世界中の大勢の顧客候補にリーチが広がることになる。製品の注文はアマゾンの物流ネットワークで処理される。また、ペロトンとしては初めて、アマゾンのストアでは従来の組み立てサービス以外に自分での組み立ても選べるようにした。

マッカーシーは「ほかの小売りパートナー候補とも生産的な話し合いを続けており、近いうちに新たなパートナーシップについて発表できればと思っている」と述べている。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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