正確に言えば、映画では2015年にアザイアが投稿した148のツイートと、「ローリングストーン」誌のデイヴィッド・クシュナーが執筆した記事「Zola Tells All:The Real Story Behind the Greatest Stripper Sage Ever Tweeted」(2015年11月)を基にして物語がつくられている。
(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved.
主人公のゾラ(テイラー・ペイジ)は、昼はダイナーでウエイトレスとして働き、夜はクラブでポールダンスを披露しているアフリカ系アメリカ人。ダイナーに客としてやってきた白人のステファニ(ライリー・キーオ)から、「あなたの胸は完璧、リンゴのよう」と声をかけられる。
少々エキセントリックな言動も見せるステファニだったが、同じくポールダンスをしており、キッチンにまで現れた彼女とゾラは意気投合。その夜、一緒に踊りに出かけて、別れ際に連絡先を交換する。
次の日、ステファニからメールが入り、ゾラは「フロリダにポールダンスで稼ぎに行かないか」と誘われる。「集合は2時、一緒に行くのは恋人と同居人」と教えられるが、ゾラは昨日知り合ったばかりで旅をすることに一瞬躊躇する。しかし結局は同棲している恋人を説得して、ステファニと出かけることにする。
目的地はフロリダのタンパ。デトロイトからは、ほぼアメリカ国内縦断の旅だ。荷物持ちのような気弱なステファニの恋人デレク(ニコラス・ブラウン)と、ずっと車のハンドルを握る彼女の同居人X(コールマン・ドミンゴ)、そしてステファニとゾラの4人旅。夜を徹して車を飛ばし、20時間余りで目的地に到着する。
その夜、タンパのクラブでポールダンスを終えると、楽屋でステファニがXは私の「世話役」だと告げる。世話役とは売春を斡旋する人間のこと、迎えに来たXにゾラは「冗談じゃない、私は違う。そういう女じゃない」と言い放って車を降りようとするのだったが……。
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この後、ゾラはさらなる危険に晒されていくのだが、とにかく物語全編を通して彼女の「語り」という形式で、笑いも交えながらシニカルで鋭い視点で語られていくのが特徴だ。そこには、ゾラという女性が持つ周囲に流されることのない堅固な姿勢が明確に表れている。