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2022.08.31 07:15

2万ドル台の「大衆車」でテスラに挑む、GMの反撃は成功するか?

Photo by Bill Pugliano/Getty Images

イーロン・マスクは、テスラがまだ最初の電気自動車(EV)を製造する前の2006年8月に、同社初の「マスタープラン」を発表した。その目標は、高価なEVを販売し、その売上で手頃な価格のEVの開発を促進することで、環境に優しくない自動車業界を変革することだった。

「ロードスターという高級スポーツカーを買う人は、実は低価格のファミリーカーの開発資金を提供することになる」と、その当時マスクは書いていた。

テスラはその後、2008年に発売した9万8000ドルのロードスターより安いモデルを4台発売したが、どれも手頃な価格ではなく、「真の大衆向けブランド」になるという目標は達成出来ていない。ケリー・ブルー・ブックによると、テスラのEVの平均販売価格は6万8000ドルだ。これは、「低価格のファミリーカー」のスイートスポットである3万ドルから4万5000ドル(約620万円)の価格帯を大きく上回っている。

テスラは今や、「手頃な価格のEV」のレースでGMに敗れている。デトロイトの伝統的自動車メーカーのGMは、2023年のシボレー・ボルト・ハッチバックを約2万7000ドルで売り出す予定だ。少し大きめのボルトEUVは、高級オーディオシステムやカメラ付きバックミラー、サンルーフ、ハンズフリーで高速道路を走行できるスーパークルーズを搭載して、3万4000ドル強という。

GMはさらに、来年もう一つの安価なEVを発売する。1充電の走行距離が300マイルのエクイノックスEVの最低価格は3万ドルからで、これはホンダのCR-VやトヨタのRAV4のようなガソリン車のライバルと同じ価格だ。

税控除で2万ドル以下に


そして、これらの車両はさらに安くなる可能性がある。先日、議会を通過したインフレ抑制法に盛り込まれたEV税額控除の延長で、7500ドルの税控除が適用され、5人乗りのボルトの実効ベース価格が2万ドル未満に引き下げられる可能性があるのだ。

調査会社LMCオートモーティブのジェフリー・シュスターは、「最も手頃な価格のEVというキャッチフレーズは悪くない」と話す。「その価格ではボルトは儲からないと思うが、彼らはマージンのためにやっている訳ではなく、認知度と市場シェアのためにやっている。これにより、同セグメントにおけるテスラの優位性は後退する」と彼は指摘する。

一方で、テスラはEVの価格競争に負けたことを気にしていないようで、今のところ財政的にも問題ではないことは注目に値する。同社は、主要な収益源である中国でのパンデミック関連の操業停止にもかかわらず、第2四半期に23億ドルの純利益を計上し、高価格を武器に、従来の大手自動車メーカーがうらやむほどの利益率を誇っている。

「テスラのフォーカスは時間とともに変化し、今では高級車ブランドになった」と、カウエンでテスラを担当する株式アナリストのジェフリー・オズボーンは言う。「彼らが、少し前の決算発表で、大衆車ではなく人型ロボットのOptimus Primeに焦点を当てたことは、このピボットに満足していることを示している」
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編集=上田裕資

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