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2022.08.29

ビットコイン取引の半分以上が「フェイク」、フォーブス独自調査

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世界の暗号通貨市場には、膨大な数のトークンが存在するが、そのルーツとされるビットコインは1兆ドルの暗号資産残高の40%を占めている。ニューヨーク・デジタル・インベストメント・グループによると、4600万人の米国成人がビットコインを所有しており、機関投資家や企業の多くがこのアセットに注目している。

しかし、この最も重要なデジタル通貨のトレーディングについての取引所の報告には疑念が生じている。

ビットコインに対する最も大きな批判の1つは、ウォッシュトレード(取引高の水増し)の蔓延と取引所に対する監視体制の不備だ。米国商品先物取引委員会(CFTC)は、ウォッシュトレードを「売買が行われたように見せかけるためのトレード、または取引を行うと見せかけること」と定義している。

一部のトレーダーがウォッシュトレードを行う理由は、取引量を膨らませ、人気が上昇しているように見せかけるためで、ボットがトークンのウォッシュトレードを行うと同時に、インサイダーが強気な発言でその活動を強化し、価格を吊り上げる場合もある。さらに、取引高の水増しが、取引所のメリットになる場合もある。

ビットコインの1日あたりの取引量を計算するメソッドは、業界で最も評判の高い調査会社の間ですら、共有されていない。例えば、CoinMarketCapはビットコインの最新の24時間の取引量を320億ドル(約4.4兆円)と試算している一方で、CoinGeckoは270億ドル、Nomicsは570億ドル、Messariは50億ドルとしている。

さらに、大手ブローカーのボイジャー(Voyager)と貸し付けサービスのセルシウス(Celsius)の崩壊が引き起こした取引所の支払能力に関する懸念が、大きな課題を浮き彫りにした。この市場に対する信頼の欠如は、米証券取引委員会(SEC)が、ビットコインのスポット(現物)ETFを承認しないことでも示されている。

しかし、これらの懸念や批判の多くは妥当なものだ。フォーブスは、暗号通貨のエコシステムに関する調査の一環として2021年のデータを基に算出した上位60の取引所のランキングを3月に発表した。さらに、今回の調査でビットコインの取引市場をより深く掘り下げ、いくつかの差し迫った疑問への回答を導いた。

フォーブスは、今回の調査で世界157の暗号通貨取引所を評価し、ビットコインのトレーディングの実態を調査した。
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編集=上田裕資

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