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2022.08.29

ツイッターの内部告発はイーロン・マスクの追い風になるか?

Rokas Tenys / Shutterstock.com

ツイッターの元サイバーセキュリティ責任者であるピーター・ザトコ(Peiter Zatko)が同社のセキュリティ上の脆弱性を告発したことを受け、欧州では議員や規制当局が迅速な対応を起こした。ツイッターは、彼の告発内容を否定しているが、来月には米上院司法委員会がザトコを召喚し公聴会を開く予定だ。

ザトコの公聴会は、9月13日に予定されている。上院司法委員会の委員長である民主党のディック・ダービン議員と共和党の筆頭委員のチャック・グラスリー議員は、ツイッターのユーザーが深刻なデータプライバシーとセキュリティのリスクに直面していると懸念を表明している。

公聴会開催日は、停滞中のイーロン・マスクによるツイッター買収計画に同社株主が投票する日でもある。AP通信によると、SEC(米証券取引委員会)はツイッターに対し、同社が偽アカウントやボットアカウントの数をどのように計測しているか質問をしているという。この点は、マスクによる同社買収計画の重要な争点となっている。

民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員とエドワード・マーキー上院議員らは、ザトコの告発内容が消費者保護法や、ツイッターが2011年にFTCと締結したユーザーのプライバシーとセキュリティを改善する同意協定に違反しないか調査を行う要請書をFTC(連邦取引委員会)に提出した。

一方、フランスとアイルランドのデータ保護当局は、ザトコの告発を受けてツイッターがユーザーデータとプライバシーの取り扱いに関するEUの規則に違反していないかを調査している。また、ロイターが入手した内部メモによると、ツイッターは告発内容を否定しているにもかかわらず、コンテンツモデレーションとアカウント審査のチームを統合したという。

マスクの訴訟に与える影響


ザトコは8月23日、ツイッターが偽アカウントやボットアカウントの数を意図的に過少報告し、セキュリティ状況に関して投資家や規制当局、ユーザーに誤った印象を与えたと非難する告発文書を、司法省やSEC、FTCに提出した。彼は、同社がFTCにユーザーのセキュリティとプライバシー対策について誤解を与え、2011年に和解した際の合意内容に違反した可能性が高いと指摘している。彼はまた、抗議デモがインドで勃発していた際に、インド政府からの要請を受けたツイッターが、政府関係者を雇ってユーザーのデータを監視させていたと主張している。

ツイッターのパラグ・アグラワルCEOは、ザトコの告発内容が不正確で証拠がないと社内会議で語ったとニューヨーク・タイムズ(NYT)は報じている。ザトコは、自身が提起した問題をツイッターが隠蔽した疑惑についてアグラワルと衝突し、1月に解雇されたと主張している。

ザトコの告発がマスクによる440億ドル(約6兆円)のツイッター買収劇をめぐる法廷闘争にどのような影響を及ぼすかはまだ分からない。ローゼンブラット証券のアナリストは8月24日、今回の告発によってマスクが法廷闘争を引き延ばすか、買収から手を引く可能性があるとして、ツイッターのレーティングを格下げした。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、マスクによる訴訟とザトコの申し立てには、いくつかの違いがあると指摘している。それによると、両者はツイッターがユーザー数をごまかしていると非難している点では一致しているが、計測方法の間違いに関する指摘については意見が分かれているという。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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